痴漢と欠格事由

2020-04-13

痴漢と欠格事由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

私(20歳)は、看護師を目指して看護学校の専門学校に通っています。私は、数か月前、JRの電車内で痴漢をしたとして東京都迷惑行為防止条例違反で逮捕され、起訴され、今年3月の裁判で、懲役4月、3年間執行猶予の有罪判決を受けてしまいました。来月(5月)には、看護師試験を控えています。私は受験することが可能でしょうか?また、仮に合格した場合、看護師免許を取得することがでいるのでしょうか?
(フィクションです)

~痴漢、欠格、欠格事由~

痴漢は各都道県の迷惑行為防止条例で禁止されています。
痴漢の罰則は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金であることが多いと思われます。

欠格とは、要求されている資格を欠くこと、欠格に当たる理由(事由)のことを「欠格事由」といいます。国家公務員、地方公務員、国家資格を必要とする職業は、職責が重く、国民からの高度な信頼も必要とされることから、法律で欠格事由が定められています。

~看護師の欠格事由~

では、看護師の欠格事由はどう定められているのでしょうか?
この点、保険師助産師看護師法9条1号(欠格事由)に次の定めが設けられています。

次の各号のいずれかに該当する者には、前二条による免許を与えないことがある
1 罰金以上の刑に処せられた者
2 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの
4 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

1号の「罰金以上の刑」とは、罰金刑、禁錮刑、懲役刑、死刑のことをいいます。「刑に処せられた」とは裁判を受け、その裁判が確定したことを言います。また、執行猶予付き判決を受けた場合も「刑に処せられた」に当たります。

~ご質問に対する回答~

・看護師試験を受験することが可能か?

欠格事由は、看護師免許を与えられるか否かの判断の際に考慮されるもので、試験の受験とは無関係です。したがって、試験の受験自体に制限がない限り「可能」と考えます(受験要領などで確認してください)。

・看護師免許を取得することは可能か?

ご相談時、Aさんは「執行猶予中」かと思います。そして、上記で説明したとおり「刑に処せられた」には執行猶予中の場合も含まれますから、執行猶予期間中は看護師の免許を受けることができなくなるかもしれません(ここで「かも」と言いましたのは、あくまで上記の9条が「免許を与えないことがある」と欠格事由を相対的事由としているからです。免許の付与権者は厚生労働大臣です)。しかし、執行猶予期間中、何事もなく経過すれば、執行猶予を言い渡した刑の効力は失われます(刑法27条、だたし前科は残ります)。つまり、Aさんは「罰金以上の刑に処せられた者」ではなくなり、1号の欠格事由には当たらないことになります。そうすれば、免許を受けることができます。

刑法27条
 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。

~おわりに~

国家資格を必要とする資格は、看護師以外にも、医師、介護福祉士、行政書士、公認会計士、社会福祉士、社会保険労務士、税理士、土地家屋調査士、弁理士、弁護士、薬剤師、保育士の資格などがあり、それぞれ法律で規定されています。気になる方は、一度、関係法令で確認してみましょう。

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