痴漢事件において示談を拒絶された場合の弁護活動

2020-07-25

今回は、痴漢事件の被害者に、示談の締結を拒絶されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

千葉県市川市に住むAさんは、電車内で起きた痴漢事件の被疑者です。
弁護人を選任し、弁護人限りで警察から被害者の情報を教えてもらっていますが、被害者の処罰感情が強く、当初から示談の締結を拒絶されています。
検察官も「そろそろ処分を決めようと思う」と言っており、時間もなさそうです。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~刑事事件における示談の効果~

(示談とは?)
示談とは、加害者と被害者との間でなされる、事件解決に向けた合意のことをいいます。
通常、加害者から被害者に対し、事件によって生じさせた損害を賠償し、謝罪することを主な内容とします。
示談をすることにより、次の効果が期待できます。
・逮捕・勾留されている場合は、早期に身柄を解放してもらえること
・最終的な処分(起訴されるか否か、有罪判決を受ける場合の量刑)が軽くなること
・将来、民事訴訟を提起され、損害賠償請求を受けるリスクを無くすこと

以上のように、刑事事件の弁護活動として、示談はとても重要な意義を持ちます。
しかし、示談に応じるか否かは、被害者次第です。
どれだけお金を出せる場合であっても、被害者の処罰感情が峻烈で、交渉にすら応じてもらえないような場合は、示談の締結は不可能でしょう。
ケースのように、示談に応じてもらえなさそうな場合は、どうしたらよいのでしょうか。

~示談に応じてもらえない場合は?~

処罰感情が峻烈で、示談に応じてもらえない場合、不起訴処分の獲得は難しいかもしれません。
この場合は、謝罪文や反省文を作成して検察官に提出するなど、真摯に反省していることを明らかにしたうえで、被害者に誠実に対応したことの報告書を作成する、カウンセリングを受けるなど再犯防止策に取り組む、といったことが考えられます。
それでも、被害者と示談をしていない以上、罰金刑を受ける可能性は高いと考えられます。

(痴漢事件を略式手続で解決する)
Aさんが初犯であれば、起訴される場合であっても、略式手続により、罰金刑の言渡しを受けて事件を解決できる可能性が高いと思われます。
略式手続とは、書面のみによって審理を行い、略式命令によって、「100万円以下の罰金又は科料」を言い渡す手続です。
略式手続がなされれば、ほぼ確実に有罪になりますが、法廷に立つ必要がなく、簡便に事件を終了させることができます。
また、
・書面のみで審理を行うので、事件を秘密にできる
・罰金を払いさえすれば、事件が終了するので、刑務所に入る必要がない
・早期の社会復帰を目指せる
・身体拘束をされている場合は、略式命令を受けることにより解放される
といったメリットもあります。

(略式手続のデメリット)
反対に、略式手続は原則として、検察官のみの証拠により判断されることになります。
もし、事件に関してAさんがどうしても主張したいことがある場合(例えば、検察官の証拠について争いたい場合など)に略式手続に応じるのは賢明ではありません。
この場合は、略式手続に同意せず、公判でAさんの主張を裁判官に伝えるべきか否かを検討しなければなりません。
略式手続に応じるべきかどうかについては、弁護士と相談した上で判断することをおすすめします。
また、罰金刑で済んだ場合であっても、これを払えない場合は、労役場に入らなければならなくなります(刑法第18条)。

示談を拒絶されてしまった場合であっても、Aさんにとってベターな解決方法は存在します。
弁護士のアドバイスを受けながら、なるべく有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
痴漢事件において、被害者に示談を拒絶されてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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