【事例解説】公務員が起こした痴漢事件(前編)

2025-03-22

今回は、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

満員電車

事例

Aさんは、地方公務員として働いており、名古屋市内を走る電車内において、目の前の女性Vさんの臀部を触った疑い現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは以前にも地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件での犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています
(事例はフィクションです。)

Aさんに成立する犯罪

Aさんの痴漢行為には下記のいずれかの犯罪が成立する可能性があります。
1つ目は、迷惑行為防止条例です。この条例は、公共の場での不適切な行為を防ぐ目的で各都道府県ごとに制定されています。痴漢行為もその対象となり、服の上から体に軽く触れた等の比較的軽微な場合は、この条例によって処罰されることが多いです。

2つ目は、刑法第176条に定められる不同意わいせつ罪の規定です。
衣服やスカートの中に手を入れて直接体を触るなど、軽微とはいえないような痴漢の場合は、迷惑行為防止条例違反ではなく刑法に定められている「不同意わいせつ」で処罰される可能性があります。
刑法176条は刑罰として、「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
上記のように迷惑行為防止条例違反よりも不同意わいせつのほうが法定刑が重く、どちらで捜査されて事件が進行していくかは、被疑者にとって重要といえます。

Aさんが特に注意すべきことは何か

Aさんは地方公務員です。
地方公務員法第28条4項によると、「職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う」と規定されています。
地方公務員法第16条各号のうち、第2号には「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が挙げられています。
懲役刑の言渡しを受け、その執行を猶予されている者も上記に該当します。

Aさんが有罪判決を受ける場合において、懲役刑が選択されてしまうと、地方公務員法第28条4項により、条例に特別の定めがある場合を除く外、失職してしまうことになります

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