痴漢・わいせつ事件とは

1 痴漢・わいせつ事件とは

一般用語としての「痴漢」については、明確な定義は法律に定められていません。 そのため、「痴漢」とは、人に対して性的な言動や卑猥な行為などの性的嫌がらせをすること、等と理解されることもあります。 しかし、痴漢事件として刑罰の対象となる「痴漢行為」とは、刑法の不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)(刑法176条)に当たる行為や、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為のことをいいます。 これらの痴漢行為をした場合、捜査が行われ、逮捕・起訴されるおそれがあります。 そして、裁判で有罪判決を言い渡されると、懲役刑や罰金刑を科されるおそれがあります。   

2 痴漢行為の類型

➀ 各都道府県の迷惑防止条例違反行為

迷惑防止条例は、都道府県ごとに定められている条例です。 愛知県の場合、正式名称「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」として定められており、「第2条の2」にて痴漢行為を禁止し、「第15条」にてその違反者に対する罰則を定めています。

○愛知県迷惑行為防止条例

(卑わいな行為の禁止)

第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は、人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物の上から触れること

四 前各号に掲げるもののほか、人に対し、卑猥な言動をすること

第15条  第2条の2の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

2項  常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。

 

各都道府県に同様の条例があり罰則を定めています。  

② 不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)に当たる行為

 

○刑法

令和5年刑法改正(刑法第176条)

第1項 

「⑴から⑻までに掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」こと

⑴ 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれを受けたこと

⑵ 心身の障害を生じさせること又はそれがあること

⑶ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること

⑷ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること

⑸ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと

⑹ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること

⑺ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること

⑻ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること

第2項

「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした」こと

第3項 

「16歳未満の者に対し、 わいせつな行為をした」こと(但し、当該16未満の者が13歳以上である場合、5歳以上年長者に限る。)

 

不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)における「わいせつな行為」とは、「姦淫以外の性的羞恥心を害する行為」をいいます。 具体的には、被害者の反抗を著しく困難あるいはそれに近い状態にした上で、衣服の中に手を入れ陰部や乳房等をもてあそぶという例が典型です。  

3 迷惑防止条例違反行為と不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)との違い

迷惑防止条例違反の場合と不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)の場合は、痴漢の行為態様によって区別されています。 そして、その結果、法定刑などで違いが生じています。不同意わいせつ罪は、これまで「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為、すなわち衣服や下着の中に手を入れて体を触る等の行為をしたことが必要でしたが、令和5年の刑法改正により、痴漢行為により「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」「予想と異なる事態に直面させ、若しくは驚愕させること」に該当する可能性が生じることとから、これまでは迷惑防止条例違反とされた痴漢行為について、今後不同意わいせつ罪が成立する可能性が高くなることが考えられ、この点注意が必要です。そのほか、不同意わいせつ罪の成立要件は、被害者の年齢によって異なり、被害者が16歳未満の場合(但し、当該16歳未満の者が13歳以上の場合、5歳以上年長者に限る。)、仮に同意があっても不同意わいせつ罪が成立します。

 法定刑

迷惑防止条例違反の場合、愛知県を例にすると、法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習のときの法定刑は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」等と定められています。 一方、不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)の場合、「6月以上10年以下の懲役」と定められ、罰金刑は規定されていません。  

 

 

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