【事例解説】路上での痴漢で自首を検討

2022-12-24

【事例解説】路上での痴漢で自首を検討

路上痴漢をした後に自首を検討し始めた刑事事件例をもとに、自主によるリスクやその後の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんはある日の夜、最寄り駅から自宅へと帰宅途中に、好みのタイプである大学生のVさんが目の前を歩いてることに気が付きました。
Vさんの体に触れてみたいと思ったAさんは、人気のない路上でVさんを追い越す際に、Vさんのお尻を着衣の上から手のひらでサッと触りました。
Vさんが悲鳴をあげたため、Aさんは急いでその場から立ち去りました。
その後しばらくの間はAさんは通常通りに生活していましたが、ある日突然警察に逮捕されるのか不安になったので、自首をしようかと考え始めました。」
(この事例はフィクションです)

【路上で痴漢するとどのような罪に問われる?】

痴漢」と聞くと混雑した電車内で女性のお尻をスカートの上から手で触るといった痴漢行為をイメージされる方がいらっしゃるかもしれません。
このような痴漢行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反によって刑事罰が科されています。

たとえば、東京都迷惑行為防止条例第5条1項では、「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」と規定し、その1号において「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」と規定しています。
電車は公共の乗物に当たることになりますから、東京都で走行している電車内で女性のお尻をスカートの上から触れば、東京都迷惑行為防止条例第5条1項1号に違反する可能性が高いということになります。

そして、このように電車内で行えば迷惑行為防止条例反に当たる可能性が高い痴漢行為を電車内ではなく路上で行った場合、この場合も迷惑行為防止条例違反となる可能性が高いと言えます。
というのも、既に東京都迷惑行為防止条例第5条1項1号をお読みになった方は既にお気づきかもしれませんが、同号では「公共の乗物」に加えて「公共の場所」においても「衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」を禁止しているからです。

路上は「公共の場所」に当たることになると考えられますから、路上において、追い抜く際に着衣の上からお尻を手で触るといった痴漢行為は、東京都の場合は東京都迷惑行為防止条例第5条1項1号に違反する可能性が高いと言えるでしょう。
このような痴漢行為によって東京都迷惑行為防止条例第5条1項1号に違反した場合、同条例第8条1項2号によって6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

ちなみに取り上げた事例とは異なって、路上でVさんを後ろから抱きしめて身動きが取れないようにしたうえで、Vさんの胸などを触ったという場合のAさんには迷惑行為防止条例違反ではなく、刑法176条の強制わいせつ罪が成立する可能性が高いです。
刑法176条の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっており、罰金刑が定められていないことから比較的刑が重い犯罪であると言えます。

【路上での痴漢行為で自首を検討されている方は】

自首とは、犯人が警察などの捜査機関に自ら進んで自分が犯した犯罪について申告して、その処分を求めることをいいます。
刑法では42条1項に自首の規定があり、自首が成立するとその刑を減軽することができるとされています。
自首が成立するためには、「捜査機関に発覚する前に」自首を行う必要があります。

「捜査機関に発覚する前に」とは、捜査機関が犯罪が発生したことを全く知らなかった場合や、被害届の提出などにより犯罪が発生したことについては知ってはいるものの犯人が誰であるかが分かっていない場合のことをいいます。
そのため、現在逮捕されていない、あるいは警察から連絡が来ていないという場合であっても、たとえば、警察において既に犯人が誰であるかを特定していて逮捕を行うための準備中であったという場合に警察に出頭したとしても自首が成立する可能性は低いと考えられます。
このように自首が成立する可能性が低い事件の場合は警察に出頭することが無意味なのかといえば必ずしもそうとは言い切れません。
警察に出頭すれば逮捕を回避して在宅で捜査が進められる場合がありますし、出頭前に弁護士を付けておけば弁護士を通して警察に連絡して出頭の日時を調整することも出来る場合もあります。

そのため、路上での痴漢行為について自首を検討されている方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、警察に出頭した場合のメリットや出頭した後の手続きの流れ、そもそも今回の痴漢事件自首が成立するのかといったことの説明を受けることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
路上痴漢をして自首を検討されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.