痴漢における弁護活動②
痴漢における弁護活動②
前回は痴漢で逮捕されてしまった場合の弁護活動の流れを説明いたしました。
今回は逮捕されなかった場合の弁護活動の流れ,事件の終局までの流れを説明していきます。
~痴漢における弁護活動・在宅の場合~
そもそも痴漢で逮捕される場合とは法律的にどのような場合なのかをまず説明したいと思います。
痴漢での逮捕には通常逮捕と現行犯逮捕の2種類があります。
◇通常逮捕◇
通常逮捕とは,事前に裁判官から発せられた逮捕状に基づいて被疑者を逮捕することをいいます。
逮捕状は検察官または司法警察員(階級が巡査部長以上の警察官のことをいいます)が請求します。
請求を受けた裁判官は「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」を審査して逮捕状を発するかどうかを決定します。
逮捕の理由とは「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことで嫌疑の相当性といいます。
逮捕の必要性とは,逃亡または罪証隠滅のおそれがあるということであり,被疑者の年齢や境遇,犯罪の軽重・態様その他諸般の事情を考慮して総合的に判断されます。
犯罪の嫌疑のある者をすべて逮捕するわけではなく,逃亡や罪証隠滅の恐れがある場合にのみ被疑者の身体を拘束するという趣旨になっています。
◇現行犯逮捕◇
現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者またはを行い終ってから間がないと明らかに認められる者(刑事訴訟法212条1項および2項)を現行犯といいます。
現行犯を逮捕することが現行犯逮捕と呼ばれ,現行犯人は誰でも逮捕状なしで逮捕することができます(刑事訴訟法213条)。
電車やバス車内で痴漢をした手を掴まれて降車させられた場合などは現行犯逮捕されてしまうことが多いようです。
◇在宅事件◇
痴漢の場合,事案の性質上罪証隠滅が難しいので,逃亡のおそれがないと判断されれば逮捕されずに在宅で事件が進むことが多いです。
その場合は,通常通り会社や学校に通うことができます。
ただし,警察等から出頭命令があった場合には必ず応じなければいけません。
応じなかった場合には,逃亡のおそれがあるとみなされて逮捕されてしまう可能性があります。
在宅の場合は警察で取調べ等を受けたのち,調書などの書類が検察官に送致されます(ニュースなどでよく耳にする書類送検です)。
その後の流れは逮捕・勾留された場合と同じですのでこれから説明していきます。
◇起訴と不起訴◇
検察官は送致されてきた事件の書類等を審査し,起訴するかどうかを決定します。
起訴されてしまった場合,実際の刑事裁判を経て,罰金刑や懲役刑が言い渡されます。
たとえ1万円の罰金という判決であっても前科となってしまうのでその後の社会生活に及ぼす影響は大きいでしょう。
一方で不起訴の場合には前科とはならないので,弁護士は事件が不起訴となるように弁護活動を進めます。
不起訴処分は実は20種類ありますが,認め事件の場合に通常,弁護士が目指すのは起訴猶予と呼ばれる不起訴処分です。
起訴猶予は被疑事実は明白な場合ですが,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないと判断された場合に出されます。
弁護士としては訴追(=起訴)を必要としないと判断されるように弁護活動を進めていきます。
具体的には,本人の反省文やご家族の方からの上申書,事件の再発防止に向けた取り組みを書面にしたもの,被害者の方と示談を成立させ,被害者の方に書いていただいた被疑者を許すという書面(宥恕条項といいます)などを検察官に提出します。
それらを見た検察官が訴追の必要がないと判断すれば起訴猶予となり,不起訴処分となります。
否認事件の場合には、検察官に対して嫌疑なし,嫌疑不十分という不起訴処分を求めることになります。
こちらは字面の通り,犯罪の証拠(嫌疑)がないもしくは十分でなく,裁判を維持できないというような場合に出される不起訴処分です。
◇起訴された場合◇
もしも起訴された場合には,弁護士は実刑とならないように弁護活動を行います。
具体的な活動は不起訴を目指す場合と重複し,裁判官に対して本人の反省などから執行猶予を付けたり,罰金刑で済ましてもらえるように働きかけます。
被疑者の方が事件を否認している場合には、無罪獲得に向けて様々な証拠を集めて裁判で主張し,裁判官に無罪であると訴えていきます。
当然ですが,無罪判決となった場合は前科とはなりません。
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