車掌による痴漢

2019-08-17

車掌による痴漢

事例:A(電車の車掌)は,自らの勤務中に,京都府京都市南区を走行する電車内にいたVの下半身を触った疑いをもたれている。
Vが,被害を訴えた結果,京都府南警察署の警察官は、Aを痴漢(迷惑行為防止条例違反)の疑いで逮捕した。
逮捕の知らせを聞いたAの家族は,痴漢事件を多く担当した経験のある刑事事件専門の弁護士に相談することにした。(本件は2019年7月24日の読売新聞の記事を基にしたフィクションです。)。

~車掌による痴漢という特殊な事例~

一般に電車内の痴漢というと,乗客による痴漢事件を思い起こすのが通常ではないでしょうか(多くは乗客である男性が加害者,女性が被害者です)。
もっとも,痴漢を行うのは乗客のみとは限りません。
例えば本件のように,本来であれば痴漢を見張ったり防止したりする役目を負うはずの人間が,その立場を利用して,痴漢行為に及ぶことがありえます。
痴漢行為に適用される法律や条例に関しては,強制わいせつ罪(刑法176条)やいわゆる迷惑行為防止条例などがあります。
後者(迷惑行為防止条例)に関しては,都道府県の条例の規定によって適用範囲にやや違いがあるものの,電車内の痴漢行為であれば適用対象となることは,どの都道府県でも変わらないと考えて構いません。
当然ながら,車掌であっても電車内で痴漢行為をすれば刑法や特別刑法(いわゆる刑法典以外に定められた刑罰法規)の対象になることになります。

~弁護士による早期の接見の重要性~

まず,本件のように逮捕されてしまった場合,もっとも重要なのがいち早く弁護士による支援をうけることです。
痴漢事件には,世間を騒がすようないわゆる冤罪事件として,被害者によるでっち上げ(あるいは勘違い)も存在するのが現実です。
そうである以上,被疑者として逮捕されてしまった人間の言い分も十分に聞く必要があります(そもそも,どんな人にもまず「疑わしきは罰せず」という無罪推定の原則が働くことを忘れてはならないでしょう。)。
この時点で,被疑者が犯行を認める意向なのかそうではないのか等含め,弁護士はまずその主張を虚心坦懐に聞く必要があります。
捜査側は罪を犯したことを前提に被疑者の取調べを行う傾向が極めて強く,無罪である可能性については十分な検討が行われているとはいいがたい状況があります。
また,本年(2019年)の6月から施行された,改正刑事訴訟法301条の2以下により,捜査機関の取調べの録音・録画が義務付けられることになりました。
しかし,この義務を負うのは一定の重大事件に限られており,痴漢事件はこの対象ではありません。
したがって,弁護士の立ち合い等が認められていない現在の日本の司法制度の取調べにおいては,特に捜査の初期段階では被疑者の言い分に十分に耳を傾けられない可能性が依然として残っているのです。
その意味でも,弁護士による接見(面会)を通じた,逮捕された被疑者への聞取りは弁護活動の始点として,極めて重要だということができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,迷惑行為防止条例違反や強制わいせつといった痴漢事件を含む性犯罪をはじめとした刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件逮捕された方のご家族は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお電話ください。
24時間体制で電話担当のスタッフが,弁護士による無料法律相談接見(面会)など,相談者様のニーズに合わせたサービスをご説明差し上げます。

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