痴漢で自首を弁護士に相談したい
痴漢で自首を弁護士に相談したい
電車内で痴漢をしてしまい、自首を検討しているという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「埼玉県に住むAさんは、普段出勤のためにJR埼京線を利用しています。
ある日の早朝、いつも通り埼京線を利用し、電車が赤羽駅付近を走行していたところ、Aさんは、左隣に座っていた女性Vさんが寝ていることに気が付きました。
魔が差したAさんは、腕を組みながら、自分の右手でVさんの右胸を触りました。
少しの間触っていたところ、目を覚ましたVさんが自分の右胸に違和感を覚えているような素振りをみせたため、Aさんは、急いでその場から離れて次の停車駅で降りました。
その後、次に来た電車に乗って職場に向かったAさんですが、自分が痴漢行為を理由に逮捕されないか不安になり、自首を検討し始めました。」
(この事例はフィクションです)
【電車内の痴漢行為は何罪になる?】
電車内で、隣で寝ていた女性の胸を触るという痴漢行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反に問われる可能性があります。
事例では赤羽駅付近を走行中の電車内で、女性の胸に触れるという痴漢行為ですので、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反することになるでしょう。
痴漢をして東京都迷惑行為防止条例違反に問われた場合の法定刑は、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています(同条例8条1項2号)。
また、痴漢の具体的行為によっては、迷惑行為防止条例違反よりも重い犯罪が成立する可能性があります。
例えば、満員電車の中で、目の前で立っていた女性がスカートを履いていたので、下着の中に手を入れて膣の中に指を挿入したというような痴漢行為の場合は、迷惑行為防止条例違反ではなく、刑法176条の強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6カ月以上10年以下の懲役となっており、東京都迷惑行為防止条例違反の場合よりも刑が重いです。
【自首とは?】
さて、事例のAさんは、痴漢を行った現場から離れた後、その後自首を検討しています。
自首とは、警察などの捜査機関に対して、自分が犯した犯罪の事実について自発的に申告することを言います。
よく、「自首をすると刑が軽くなる」という風に思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、そもそも自首はどのような場合に成立するのでしょうか。
刑法42条1項では、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定しています。
このうち、「捜査機関に発覚する前」とは、警察などの捜査機関が、犯罪の事実と犯人が誰であるかについて発覚していない場合をいいます。
そのため、犯罪の事実と犯人が誰であるかについては発覚しているが、単に犯人がどこにいるのかが分からない場合は、「捜査機関に発覚する前」に当たらないと考えられていますので、この場合に、犯人が警察署に赴いて自首をしても成立しないことになります。
事例の場合に、Aさんに自首が成立するかについても、警察が痴漢事件について、そもそも捜査を開始しているか、開始していた場合には、その捜査の進捗状況に応じて、Aさんの自首が「捜査機関に発覚する前」にしたものでであれば、自首が成立することになるでしょう。
【痴漢をしてしまい自首をお考えの方は】
このように、自首が成立するためには条件がありますので、警察からの連絡が何もないという段階で、警察署に赴いて「自分は痴漢をやりました」と申告したとしても、自首が必ず成立するという訳ではありません。
事例のような電車内での痴漢の場合には、被害に遭われた方が鉄道警察に相談していれば、それをきっかけに捜査が開始し、防犯カメラの映像から痴漢の犯人が降車した駅、降車で使ったICカードの履歴等などの情報をもとに、犯人が誰であるかを既に特定しているという可能性がありますので、この場合に自首をしたとしても、自首は成立しないと考えられます。
また、仮に自首が成立するような事件で自首をしたとしても、それで事件が終わるということではありません。
警察が事件について知らなかった場合に自首をした場合、自首をもとに捜査が進展することになりますので、その後の対応は非常に重要になります。
そのため、痴漢を行ってしまい自首をお考えの方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士にしっかりと事件の内容についてお話をすることで、自首が成立する可能性がどれくらいあるのか、自首した場合のメリット、自首をした後の事件の流れなどについて、弁護士から専門的な知識に基づいたアドバイスをもらうことが出来るでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
電車内で痴漢をしてしまい自首をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。