【事例解説】痴漢で逮捕、釈放後に銃刀法違反で逮捕
【報道解説】痴漢で逮捕、釈放後に銃刀法違反で逮捕
痴漢の疑いで逮捕されて釈放された後に銃刀法違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「Aさんは電車内で目の前に立っていた女性のVさんのお尻を触りました。
Vさんは、おしりを触っていたAさんの手を掴んで『痴漢しましたよね』と言って、Aさんと一緒に次の駅で降りました。
Aさんはそのまま通報によって駆け付けた警察官に逮捕されましたが、Aさんが痴漢行為を認めたこともあって、そのまま釈放されました。
Aさんは帰宅することなく近くの公園で、今後の人生を悲観して自分のことを刺そうと刃体の長さが13センチメートルの包丁を所持していたところ、パトロール中の警察官に声をかけられて銃刀法違反の疑いで逮捕されました。」
(令和4年12月31日の産経新聞の報道をもとにしたフィクションです)
【電車内での痴漢行為で逮捕されるとどうなる?】
電車内での痴漢行為は、痴漢行為として具体的にどういった行為をしたのかということで成立する犯罪が異なります。
混雑した電車内で、着衣の上から女性の胸を指で突っついたり、お尻を手の甲で触るといった行為をした場合、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる可能性が高いです。
例えば、東京都では電車内の痴漢行為が東京都迷惑迷惑行為防止条例5条1項1号に違反することになった場合、その法定刑は同条例8条1項2号によって6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
痴漢行為の疑いで警察に逮捕されると、警察での取調べの後に検察に送致されて検察官が勾留請求をするかどうかの判断をすることになります。
この勾留請求は逮捕後72時間以内にする必要がありますが、勾留請求が認められると原則として10日間、延長されると最長20日間にわたって身柄が拘束されることになります。
このように長期にわたって身柄が拘束される勾留ですが、逮捕されると必ず勾留がなされるというわけではなく、事例のAさんのように、逮捕後に釈放される場合があります。
どのような場合に勾留されずに釈放されるかということですが、例えば、住所や職業がしっかりしていて、今回はじめて行った痴漢行為を認めて真摯に反省しているのであれば、警察が検察に身柄を送致せずに釈放されたり、検察に身柄が送致された後に検察の判断で勾留請求をしないというこいことで釈放されたりという場合があり得ます。
身柄が解放された後は、日常生活を送りながら警察や検察から痴漢事件の捜査のために呼び出しを受けて、その都度対応していくことになるでしょう。
【銃刀法違反の疑いで逮捕されると?】
銃刀法22条では、刃体の長さが6センチメートルを越える刃物については、店で購入した包丁を自宅に持ち帰る最中といった正当な理由がなく携帯することを禁止しています。
Aさんは、痴漢事件を起こしたことで自分の人生を悲観して自らの命を絶つために、刃体の長さが13センチメートルの包丁を車内で所持していましたので、この銃刀法22条に違反する可能性が高いと言えるでしょう。
銃刀法22条に違反して、正当な理由なく刃体の長さが6センチメートルを越える刃物を携帯すると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります(銃刀法31条の18第2項2号)。
銃刀法違反の疑いで逮捕されたAさんですが、痴漢事件の場合と異なって今回は勾留が認められる可能性が高いと考えられます。
というのも、痴漢事件や銃刀法違反事件について捜査をしたり、起訴した後に裁判を開くためには、Aさんが生きていることが必要になりますから、事例のように自殺をするために包丁を所持していたとして銃刀法違反の疑いで警察に逮捕された場合は、自殺を防ぐために、勾留して、Aさんの身柄を警察の留置場で拘束しておく必要があると判断される可能性が高いと言えるでしょう。
【痴漢の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は】
痴漢の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、ひとりで思い悩まずに、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
痴漢を認める場合、弁護士を付けて被害者の方と示談をすることができれば、職場や家族に連絡がいかずに、痴漢事件を不起訴にすることも可能なことがあります。
痴漢の疑いで警察に一度逮捕されたからといって、その後の人生に悲観することなく、まずは弁護士に相談して、痴漢事件の見通しや今後の流れなどについてアドバイスを貰うことが、今後の人生をやり直すための第一歩となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
痴漢の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。