【事例解説】痴漢事件において不同意性交の疑いで男が逮捕②
痴漢事件で不同意性交の疑いで男が逮捕された事例を参考に、痴漢行為に不同意性交が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
通勤のため満員電車に乗っていたAさんは、前に立っている女性のスカート内に手を入れ陰部に指を入れる痴漢行為をしてしまいました。被害を受けた女性が声を上げたことで、近くの乗客にAさんは取り押さえられました。
次の駅でAさんは電車から降ろされ、通報により駆けつけた警察官に不同意性交の疑いで逮捕されてしまいました。
不同意性交等罪が成立する場合について
不同意性交等罪の成立要件は、以下の①から⑧の行為又は事由によって、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものをすることです。
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
痴漢行為に不同意性交等罪が成立する場合
性交だけでなく、膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為についても不同意性交等罪が成立する可能性のある行為になります。
痴漢という行為の態様として、被害者にとっては、いきなりわいせつな行為を受けるものであるため、同意しない意思を形成するいとまがなかった、予想と異なる事態に直面して恐怖したなどとして上記事由のうち⑤や⑥に当たる可能性もあります。
前回の記事で解説したように、強制性交等罪で有罪判決になると、5年以上の有期懲役刑という重い刑が科される可能性があります。
もし、警察官や検察官から、あらぬ疑いをかけられ強制性交等罪で捜査が進行している場合は、法律の専門家である弁護士にアドバイスを受けることをオススメします。