【事例解説】看護師の男が痴漢で逮捕
看護師の男が痴漢で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
民間の病院で働く看護師のAさんは、通勤途中の電車内で前に立っていた女性の臀部のあたりを触る等の痴漢行為をしました。
被害を受けた女性が、声を上げたことで周囲の乗客が痴漢行為に気づき、Aさんは周囲の乗客に取り押さえらました。
その後、Aさんは駅員に引き渡され、駆けつけた警察官に警察署まで連れていかれました。
Aさんは痴漢行為を否認したため、不同意わいせつの容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
看護師免許の相対的欠格事由について
保健師助産師看護師法の7条3項(出典/e-GOV法令検索)では、「看護師になろうとする者は、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。」と定められています。
そして、同法9条では、相対的欠格事由として免許を与えないという判断ができる事由を定めています。
9条 次の各号のいずれかに該当する者には、前二条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
一 罰金以上の刑に処せられた者
二 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
三 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
四 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
これから、看護師になろうとする者が、9条の各号のいずれかに該当する行為をした場合、相対的欠格事由として看護師免許が与えられない可能性があります。
また、現在看護師免許を与えられている者が、9条各号のいずれかに該当する行為をしたときは、戒告、3年以内の業務の停止、免許の取消しの処分を受ける可能性があります(同法14条1項から3項)。
痴漢事件での看護師免許への影響
痴漢行為は、各都道府県の定める迷惑防止条例又は刑法の不同意わいせつ罪のいずれかに問われる可能性があります。
今回は不同意わいせつの容疑で逮捕されていますが、不同意わいせつの法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」となっています。
看護師免許は、罰金以上の刑が相対的欠格事由となっているため、不同意わいせつで有罪判決を受けて実刑・執行猶予判決を受けてしまうと看護師免許に重大な影響がでてしまう可能性があります。
看護士資格に影響を及ぼすことを避けるためには、不起訴を勝ち取ることが不可欠になります。
不同意わいせつ事件のような被害者がいる犯罪については、不起訴の可能性を少しでも上げるためには、被害者との示談締結が重要な活動になります。
被疑者本人が逮捕・勾留されている状況では自身での示談交渉は不可能ですし、気付いたら起訴されてしまい、不起訴を目指すことが手遅れになってしまったということも考えられます。
もし、刑罰を受けることにより失う可能性のある資格をお持ちのご家族やご友人が逮捕されてしまった場合は、弁護士に初回接見にいってもらい今後の流れや、すべき活動について一度アドバイスをもらうことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
痴漢の被害者の方と示談をしたいとお考えになっている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。