Archive for the ‘事例解説’ Category

痴漢事件で逮捕 弁護士への早期依頼について(前編)

2025-05-06

今回は、愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こして逮捕されてしまった事件について、早期に弁護士を依頼するメリット・デメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

満員電車

事例

Aさんは、愛知県内を走る満員電車において、近くにいた女性Vさんの臀部を触る行為をしていたところ、他の乗客から指摘されることとなり、Aさんは警察官に引き渡され、逮捕されてしまいました。
Aさんは通勤途中で今回の事件を起こしてしまい、このままでは職場に連絡することもできず、職を失ってしまうのではないかと不安に思っています。
(事例はフィクションです。)

事例はどのような罪となるのか

Aさんの痴漢行為には、愛知県の迷惑行為防止条例又は、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
まず、愛知県の迷惑行為防止条例について解説します。

愛知県迷惑行為防止条例

「(卑わいな行為の禁止)
第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は、人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物の上から触れること
(略)
四 前各号に掲げるもののほか、人に対し、卑猥な言動をすること

第15条  第2条の2の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2項  常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。」
とされています。

Aさんの行為は、人の身体に衣服の上から触れる行為であり、さらに卑猥な言動でもあるため1号、4号どちらにも当たる可能性があります。
そのため、Aさんの行為は、迷惑行為防止条例違反として処罰される可能性があります

不同意わいせつ罪について

不同意わいせつ罪は、「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」場合に成立するとされています。
刑法第176条1項

不同意わいせつ罪の成立要件となるためには一定の要因が必要とされています。
・暴行もしくは脅迫を用いる、または被害者がそれらを受けたこと
・心身の障害を生じさせる、または被害者にそれがあること
・アルコールもしくは薬物を摂取させる、または被害者にそれらの影響があること
・睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、または被害者がその状態にあること
同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがない
・予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕(きょうがく)させる、または被害者がその状態に直面していること
・虐待に起因する心理的反応を生じさせる、または被害者がその状態にあること
・経済的または社会的の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させる、または被害者が憂慮していること
が一定の要件となります。

次回に続く…

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】アイドルに抱き着き逮捕(後編)

2025-04-26

握手会の会場を出たアイドルに背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

Aは、好きなアイドルが握手会をしている会場で待ち伏せし、アイドルが会場を出てきたところに背後から抱きつきました
Aはその場でスタッフらに取り押さえられ警察に引き渡されました
警察の調べに対し「ハグしただけで暴行や痴漢はしていない」と供述し、暴行罪などの容疑を否認しているようです。
(フィクションです。)

【痴漢行為とその罰則】

前編では不同意わいせつにあたる可能性を解説しましたが、それに当たらずとも、痴漢行為として迷惑行為防止条例違反などで起訴される可能性もあります
たとえば大阪府迷惑防止条例では、その第6条第2項第1号で痴漢行為を規制しています。

第六条 (卑わいな行為の禁止)
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること

今回の事例のような行為は、上記の「卑わいな行為」に当たる可能性が高いといえます。
大阪府迷惑防止条例において、このような痴漢行為の法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。

不同意わいせつ罪との区別に際しての明確な基準はありませんが、迷惑防止条例違反よりも重い不同意わいせつにあたるとされる事件の傾向としては、
瞬間的に触るだけでなく、長時間にわたって触り続けた場合
単純に触るのみでなく、揉んだり、押し付けるといった態様の場合
抱きつく、押し倒すといった行為
下着の上から触るのではなく、下着の中にまで手を入れた場合
被害者の年齢が若い場合
などが挙げられるでしょう。

【今後の流れ】

Aは暴行の疑いで逮捕されていますが、抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件、迷惑行為防止条例違反として手続きが進んでいく場合もあり得ます

不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪や痴漢よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件や痴漢事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱きついて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】アイドルに抱き着き逮捕(前編)

2025-04-19

握手会の会場を出たアイドルに背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

Aは、好きなアイドルが握手会をしている会場で待ち伏せし、アイドルが会場を出てきたところに背後から抱きつきました
Aはその場でスタッフらに取り押さえられ警察に引き渡されました
警察の調べに対し「ハグしただけで暴行や痴漢はしていない」と供述し、暴行罪などの容疑を否認しているようです。
(フィクションです。)

【抱きつきは暴行罪?】

今回の事件では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行や痴漢はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕されたAには暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【不同意わいせつ罪は?】

抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の不同意わいせつ罪ではないのかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては不同意わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

不同意わいせつ罪とは、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じてわいせつな行為をすることを処罰するとしています。
具体的な行為や事由として、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること等」、「アルコールやは薬物を摂取等」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益」の8項目が列挙されています。

不同意わいせつ罪が成立すると、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑が科されます。

そのため事例の行為が、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合と評価できる場合には、暴行罪ではなかく不同意わいせつ罪が成立する可能性があると考えられます。

このように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、不同意わいせつ罪や未遂罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱きついて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】公務員が起こした痴漢事件(後編)

2025-04-12

前回に引き続き、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

満員電車

事例

Aさんは、地方公務員として働いており、名古屋市内を走る電車内において、目の前の女性Vさんの臀部を触った疑い現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは以前にも地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件での犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています
(事例はフィクションです。)

起訴猶予処分について

起訴猶予処分は不起訴処分の1つです。
不起訴処分がなされれば、裁判にかけられることがないので、刑罰を受けることもありません
できる限り起訴猶予処分の獲得を目指すべきだと言えるでしょう。
しかし、事例のAさんは過去に同種前科により罰金刑を受けているため、起訴猶予となるのは難しいでしょう。

起訴猶予処分の獲得は難しい、ということであれば、略式手続により事件を解決するよう検察官に働きかけることが考えられます。
罰金刑の言渡しで事件が終了すれば、地方公務員法第16条2号に該当せずに済むことになります。

被害者と示談をするなど、適切な弁護活動を捜査段階で行う必要があるといえます。

まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】公務員が起こした痴漢事件(中編)

2025-04-05

前回に引き続き、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

満員電車

事例

Aさんは、地方公務員として働いており、名古屋市内を走る電車内において、目の前の女性Vさんの臀部を触った疑い現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは以前にも地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件での犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています
(事例はフィクションです。)

身柄解放活動について

一刻も早い身柄解放を実現することも重要です。
地方公務員ではない、民間のサラリーマンの場合においても当てはまることですが、無断欠勤を続けると勤務先から不利益な処分を言い渡される可能性があります
逮捕後、勾留決定がなされなければ、1日~3日程度で外に出ることができます
1日~3日間、無断欠勤をすることは避けられませんが、勾留され、何十日も無断欠勤を続けるのに比べれば事態として良いということができるでしょう。

職を失ってしまうと、Aさんの社会復帰に多大な悪影響が生じます
弁護活動を尽くし、早期の身柄解放の実現懲役刑の回避を目指して行動する必要があります

具体的にはどうすればよいのか
起訴猶予処分
略式手続により罰金刑の言渡しを受ける
ことにより事件を終了させることができれば、地方公務員法第28条4項により失職する可能性はなくなります
(事例の事件に関係して、何らかの不利益な処分を受ける可能性は否定しきれません。)

不起訴処分がなされれば、裁判にかけられることがないので、刑罰を受けることもありません。

早い段階で弁護士に相談することで、自身に不利な供述を避けることができたり、被害者との示談交渉を円滑に進めることができたりと不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるかもしれません

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】公務員が起こした痴漢事件(前編)

2025-03-29

今回は、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

満員電車

事例

Aさんは、地方公務員として働いており、名古屋市内を走る電車内において、目の前の女性Vさんの臀部を触った疑い現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは以前にも地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件での犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています
(事例はフィクションです。)

Aさんに成立する犯罪

Aさんの痴漢行為には下記のいずれかの犯罪が成立する可能性があります。
1つ目は、迷惑行為防止条例です。この条例は、公共の場での不適切な行為を防ぐ目的で各都道府県ごとに制定されています。痴漢行為もその対象となり、服の上から体に軽く触れた等の比較的軽微な場合は、この条例によって処罰されることが多いです。

2つ目は、刑法第176条に定められる不同意わいせつ罪の規定です。
衣服やスカートの中に手を入れて直接体を触るなど、軽微とはいえないような痴漢の場合は、迷惑行為防止条例違反ではなく刑法に定められている「不同意わいせつ」で処罰される可能性があります。
刑法176条は刑罰として、「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
上記のように迷惑行為防止条例違反よりも不同意わいせつのほうが法定刑が重く、どちらで捜査されて事件が進行していくかは、被疑者にとって重要といえます。

Aさんが特に注意すべきことは何か

Aさんは地方公務員です。
地方公務員法第28条4項によると、「職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う」と規定されています。
地方公務員法第16条各号のうち、第2号には「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が挙げられています。
懲役刑の言渡しを受け、その執行を猶予されている者も上記に該当します。

Aさんが有罪判決を受ける場合において、懲役刑が選択されてしまうと、地方公務員法第28条4項により、条例に特別の定めがある場合を除く外、失職してしまうことになります

早期に弁護士に相談
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】電車内で女子高校生への痴漢で逮捕(後編) 

2025-03-22

通勤途中の電車内で女子高校生に痴漢をしたとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

痴漢される女性

事例

会社員のAさんは、通勤途中の電車内で女子高校生の後ろからスカート内に手を差し入れて臀部を触るなどの痴漢行為をしました。
被害を受けた女子高校生が声を上げたことで痴漢行為に気付いた周りの乗客にAさんは取り押さえられ駆け付けた警察に引き渡されることになりました。
Aさんは、警察に連れていかれる間際に「痴漢と間違われて連れていかれそうになっている」と会社に電話した後、逮捕されるに至りました。
会社の人たちもAさんと連絡が取れなくなったので緊急連絡先に指定されていたAさんの妻に連絡をとって事情を話しました。 
会社から事情を聞いたAさんの妻は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

不同意わいせつ罪について

刑法176条1項では、不同意わいせつ罪が成立する場合として、大きく次の3つの要件を満たす必要があります。

(1)下記①~⑧に掲げる行為又は、①~⑧に類する行為・事由があること
(2)(1)によって同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせるか、又はその状態にあることに乗じること
(3)わいせつな行為をしたこと

そして、(1)の要件である①~⑧に掲げる行為・事由は、具体的には次の8つです。
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

これらの(1)~(3)の要件を満たした場合には、不同意わいせつ罪として、6か月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
痴漢行為の場合、①~⑧の事由の内、⑤の事由に当たると判断されることが多いでしょう。
通勤電車内での混雑に乗じて体を触る場合などは、被害者にとって突然のことであり防ぎようがない状態にあるので「いとまがない」場合に当たることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】電車内で女子高校生への痴漢で逮捕(前編) 

2025-03-15

通勤途中の電車内で女子高校生に痴漢をしたとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

痴漢される女性

事例

会社員のAさんは、通勤途中の電車内で女子高校生の後ろからスカート内に手を差し入れて臀部を触るなどの痴漢行為をしました。
被害を受けた女子高校生が声を上げたことで痴漢行為に気付いた周りの乗客にAさんは取り押さえられ駆け付けた警察に引き渡されることになりました。
Aさんは、警察に連れていかれる間際に「痴漢と間違われて連れていかれそうになっている」と会社に電話した後、逮捕されるに至りました。
会社の人たちもAさんと連絡が取れなくなったので緊急連絡先に指定されていたAさんの妻に連絡をとって事情を話しました。 
会社から事情を聞いたAさんの妻は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

痴漢行為により成立する犯罪について

痴漢行為は、主に各都道府県で定められている迷惑防止条例又は、刑法に定められている不同意わいせつ罪が成立します。 
着衣の上からの痴漢行為であれば迷惑防止違反が成立し、着衣の下に手を入れた痴漢行為については不同意わいせつが成立するという解説が多くありますが、実際の状況により、着衣の上からの痴漢行為であっても不同意わいせつとして捜査が進められる事件も多くあります

迷惑防止条例違反について

東京都迷惑行為防止条例5条1項の柱書では
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
と規定し、次に続く同項の1号で、
公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
と規定していますので、Aさんの痴漢行為は、この東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反することになると考えられます。
そして、東京都迷惑行為防止条例5条1項1号に違反した場合、同条例8条1項2号によって、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】少年による不同意わいせつ事件(後編)

2025-03-08

前回に引き続き、少年による不同意わいせつ事件を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

わいせつ行為

事例

Aくん(16歳)は、同級生の女子生徒Vさん自宅に誘い、テレビゲーム等をして遊んでいましたが、劣情を抱いたAくんは、Vさんをソファーに押し倒し陰部を直接弄ぶなどし、わいせつな行為を行いました。
後日、Aくんの自宅に警察官が現れ、「先日のAくんの自宅で起きたことについて聞きたいことがある。」と言われました。
(事例はフィクションです。)

警察の捜査が始まればAくんはどうなるのでしょうか。

最終的に、事件が家庭裁判所に送致され、審判を受けることになる可能性が高いと思われます。
審判では、Aくんに認められる犯罪傾向家庭環境を考慮し少年院送致保護観察処分などの処分が言い渡されます。
少年院送致を言い渡されると、施設に収容され、特別の場合以外は外出できませんので、Aくんやその家族にとっても、負担の重い処分となります。
Aくんの学業、進路に対しても、悪影響をもたらす可能性が懸念されます。
在宅で改善更正を図る保護観察処分ですめば、Aくんの将来への悪影響が最小限で済みます。
そのためには、事例の事件について、Aくんに真摯な反省を促し、性に対する認識を改めさせることと同時に、Aくんの交友関係、家庭環境を見直す必要があります。
弁護士の助言を受けながら、環境調整を行っていきましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件を起こした等でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】少年による不同意わいせつ事件(中編)

2025-03-01

16歳の少年が同級生の女子にわいせつな行為を行った事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

わいせつ行為

事例

Aくん(16歳)は、同級生の女子生徒Vさん自宅に誘い、テレビゲーム等をして遊んでいましたが、劣情を抱いたAくんは、Vさんをソファーに押し倒し陰部を直接弄ぶなどし、わいせつな行為を行いました。
後日、Aくんの自宅に警察官が現れ、「先日のAくんの自宅で起きたことについて聞きたいことがある。」と言われました。
(事例はフィクションです。)

前回に引き続き、少年による不同意わいせつ事件を解説いたします。

不同意わいせつにおける、「暴行」「わいせつな行為」とは
暴行」とは、身体に対する不法な有形力の行使をいい、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足ります。
つまりAくんが行った、Vをソファーに押し倒す行為は、上記の「暴行」に該当すると考えられます。
わいせつな行為」の具体例として、陰部に手を触れたり、手指で弄んだり、自己の陰部を押し当てることや、女性の乳房を弄ぶことをいいます。
事例における「陰部を直接弄ぶ」行為は、「わいせつな行為」の典型例ということができるでしょう。
Aくんは、暴行を用い、Vさんにわいせつな行為を行ったということから、Aくんに不同意わいせつ罪が成立すると判断される可能性が極めて高いと思われます。

不同意性交等未遂について

Aくんは、Vさんと強制的に性交しようとしたが、何らかの理由で性交する前に止めた、という見方も考えられるところです。
この場合は、不同意性交等罪の未遂の成否が検討されることになります。
不同意性交等罪不同意わいせつ罪と同じように前回記載の8つの類型に該当し
同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、性交等をしたもの」が成立要件となります。
もし、AくんがVさんと強制的に性交することを目的としてVさんをソファーに押し倒したのであれば、不同意性交等未遂の罪が成立する可能性が高いということになります。

取調べにはどう対応すればよいか?

取調べにおけるAくんの供述は、Vさんと強制的に性交する目的の有無を左右する重要な証拠になります。
取調べで「Vさんを押し倒したとき、Vさんと性交することも少しは考えた。」旨の調書がとられると、Aくんの嫌疑が不同意性交等未遂罪に固定される可能性が高まります
不同意わいせつ罪よりも、不同意性交等未遂の方が重大な犯罪であるため、Aくんにより重い処分がなされる可能性が高まります
取調べ前に、Aくんの認識を前提に、どのように供述すればAくんにとって不利にならずに済むかについて、弁護士から助言を受けることをおすすめします

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件を起こした等でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

« Older Entries
Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.