痴漢の強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い

2019-03-05

痴漢の強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い

~ケース~

大阪市北区在住の大学生Aさんは、通学途中、電車内で背後から女性の臀部を触った。
被害女性が駅員に通報したことから、痴漢事件が発覚し、駅員から通報を受けた大阪府天満警察署の警察官はAさんに対し、任意での取調べを行い、Aさんが痴漢行為を行ったことを認めたことから、その場でAさんを逮捕した。
警察から事件について連絡を受け、Aさんが大学を退学にならないか心配になったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に、どうやって退学処分を避けられるか相談した。
(上記の事例はフィクションです)

~痴漢行為が何罪にあたるか~

痴漢行為を犯した場合、刑法上の強制わいせつ罪、若しくは各都道府県の迷惑防止条例違反の罪に問われます。
刑法上の強制わいせつ罪は、「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する」と規定された犯罪です。

他方、迷惑防止条例については、各都道府県が制定しており、条文の文言や要件などが都道府県毎に異なります。
もっとも、どの都道府県の迷惑防止条例でも、公共の場所における痴漢行為は禁じられています。

例えば、東京都の迷惑防止条例では、以下のように痴漢行為を禁止しています。
「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」

一般的には、痴漢事件では、強制わいせつ罪ではなく、迷惑防止条例違反が適用されることが多いです。
では、どのような場合に強制わいせつ罪が成立するのでしょうか。

強制わいせつ罪においては、「暴行又は脅迫を用いて」という文言が用いられています。
同様の文言が用いられている強制性交等罪において、最高裁判例は、「暴行または脅迫を用いて」という文言を、抵抗を著しく困難にする程度のものと判断しています。

仮に強制わいせつ罪についても、強制性交等罪と同様に考えた場合、上記のAさんのように背後から女性の臀部を触るという行為については、被害女性が抵抗することが著しく困難といえるような態様(例えば痴漢行為の際に被害女性を脅すなど)での行為といえる場合には、「暴行又は脅迫を用いて」に当たると判断されるといえます。
したがって、そのような場合、Aさんにも強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

痴漢事件で逮捕されてしまった場合、被疑者が大学生であれば、大学に痴漢事件のことが知らされる可能性があります。
警察署から学校に連絡が行く場合もありますし、痴漢事件について報道がなされれば、その報道を知った人が学校に連絡する場合もあります。

このようにして、大学に痴漢事件のことが知られてしまうと、停学処分や退学処分など厳しい処分を受ける可能性があります。
しかし、痴漢事件で逮捕された後、早期に弁護士を付けることで、報道阻止活動や、大学への通知の阻止活動、大学との交渉などを行うことができ、大学に痴漢事件を知られずに済んだり、大学からの処分を軽くしてもらえる可能性があります。

痴漢事件での弁護士の活動として、被害者との示談交渉が挙げられます。
痴漢事件などの性犯罪においては、一般的に被害者が加害者との直接交渉を断る場合が極めて多いです。
被害者としては、被害感情から加害者やその家族と話すことすら拒むことが多く、当事者同士での示談交渉は難航することが予想されます。
そのため、弁護士が仲介役として間に入って、謝罪文を渡したり、適切な示談金を提示することで、被害感情を抑え、示談をまとめることが重要となります。
被害者との示談交渉がまとまれば、不起訴などの処分が得られる場合もあり、大学からの処分も軽微なものにとどまることが考えられます。

痴漢事件のことで何か不安なことやお困りのことがございましたら、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
多くの痴漢事件を扱う弁護士が、アドバイスや弁護方法のご提案をさせていただきます。
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大阪府天満警察署までの初回接見費用:34,700円

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