痴漢の再犯が宥恕付示談で不起訴

2019-12-25

痴漢の再犯が宥恕付示談で不起訴

痴漢事件再犯示談による不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

京都府京丹後市の会社員Aさんは電車通勤しています。Aさんは5年前に痴漢事件を起こして罰金刑を受けた前科を有していましたが、満員電車で欲情を抑えきれず、再び痴漢をして現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻は、痴漢事件に詳しい弁護士初回接見を依頼しました。その後、Aさんの妻との間で正式な契約をした弁護士は、すぐに京都府京丹後警察署に連絡を入れ、被害者の氏名、住所などの個人情報を獲得し、被害者との示談交渉を始めました。弁護士としては、不起訴処分獲得に向けて、被害者から宥恕条項付き示談を締結したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 初回接見 ~

初回接見とは、身柄を拘束された方が弁護士とはじめて行う接見(面会)のことをいいます。
なお、初回接見は、逮捕直後に限られるものではありません。
勾留された後でも、起訴された後でも、とにかく身柄を拘束されている場合に、初めて弁護士接見することはすべて初回接見です。

初回接見の段階では、弁護士は「弁護人になろうとする者」という立場で接見します。
というのも、この段階では、まだご依頼を受けた方と弁護活動について正式な契約を結んでいないからです。
したがって、初回接見契約は接見後の弁護活動を含みません。
接見後の弁護活動を希望される場合は、改めて弁護士と委任契約を交わす必要があります。

もっとも、「弁護人となろうとする者」といっても弁護士であることにかわりはありません。
接見では、事件の詳細や、逮捕された方の認否を警察官の立会なしで聞き取ることができます。
そして聞き取った内容をふまえて弁護士は、今後の刑事手続きや刑事処分の見通しを立てて、逮捕されている方やその家族に伝えます。
その後、ご希望であれば委任契約を結び、早期釈放や示談に向けて弁護活動を始まます。

~ 宥恕条項付き示談書とは? ~

痴漢事件において、被害者との示談は検察官の刑事処分の判断に大きな影響を与えます。
本件のAさんは5年前にも痴漢事件を起こして罰金刑の前科を有しているとのことですから、今回仮に示談交渉しない、あるいは示談が不成立で終わったという場合は懲役刑を受けてもおかしくはありません。

検察官は情状、犯罪後の情況も考慮して刑事処分を決めることになっており(刑事訴訟法248条)、情状、犯罪後の情況に「示談締結の事実」も含まれます。また、宥恕とは、単に「被害者が被疑者(加害者)を許す」というだけにとどまらず、「刑事処罰を求めない」という意思表示のことをいい、この宥恕条項がついた示談書を宥恕付き示談書といいます。もちろん、単なる示談書よりは、宥恕条項付き示談書の方が効果は高く、不起訴(起訴猶予)となる可能性も高まります。

起訴猶予とは、刑事処分である不起訴処分の理由の一つです。検察官は、訴訟条件を具備し、犯罪事実は証拠上明白であるが、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況により起訴するのを見送ることができます。これを起訴便宜主義といい、検察官にだけ認められた権限です。情状、犯罪後の情況には、示談締結の他、被疑者の反省の程度や再犯防止に向けた環境等も挙げられます。不起訴(起訴猶予)の獲得を目指すならば、検察官が刑事処分を決める前に、示談締結の事実とともに、これらの事項も併せて主張する必要がある場合もございます。

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