痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
痴漢と疑われないために 痴漢と疑われたら
福岡市に住むAさんは,満員電車内で,突然,Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。
Aさんは,痴漢をした覚えは一切ありませんでした。
Aさんは全く身に覚えがなかったため,無実であることを主張しようと,次の駅で降り,駅員に促されるまま駅の事務室へ行きました。
そうして,Aさんは,事務室で駅員へ説明していると,通報を受け駆け付けた福岡県博多警察署の警察官から警察署まで来るよう言われました。
Aさんは取調べで,警察官から「認めればはやく家に帰れるぞ」などと言われました。
(フィクションです)
~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~
痴漢行為は,通常,各都道府県が定める迷惑防止条例(名称は,各都道府県により異なる)により処罰されます。
罰則は「6月以上の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として行ったと認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされている条例が多いようです。
その他,痴漢行為が悪質な場合(例えば,女性の背後からいきなり乳房を鷲掴みにするなど)は条例ではなく刑法の強制わいせつ罪で処罰されるおそれもあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
~ 痴漢と冤罪 ~
ところで,2007年に公開された周防正行監督の「それでもボクはやっていない」という映画をご存知でしょうか?
痴漢の否認事件を取り上げた映画で,弁護士役は確か,役所広司さんだったと思います。
当時,とある役所に勤めていた筆者は上司からこの映画を勧められました。
これはあくまで筆者の感想ですが,木村拓哉演じる「HERO」よりもより現実を忠実に再現していると感じました。
刑事司法,裁判の現場がどのようなものなのかお知りになりたい方にはお勧めの映画です。
ところで,映画では,被疑者・被告人役の加瀬亮さんは逮捕から判決まで否認を貫きましたが,結局は裁判で「有罪」判決を受けてしまいました。
痴漢事件では,実際は無実なのに裁判では有罪と認定されてしまう「冤罪」が生じやすいと言われています。
それはなぜなのでしょうか?
~ なぜ痴漢で冤罪が生じやすいのか ~
一つには,
痴漢事件では客観(物的)証拠が乏しい
という点が挙げられます。
客観証拠とは,その名のとおり,主観(先入観,偏見など)が排除された証拠,つまり,純粋に事実のみを映し出した証拠のことをいいます。
たとえば,防犯ビデオカメラ映像などが客観証拠に当たります。
しかし,痴漢行為の場所として多い電車内には防犯ビデオカメラが設置されているわけではありません。
また,被害者や目撃者が痴漢行為を予想してスマートフォンなどのカメラ録画機能を作動しているわけでもありません。
これからすると,痴漢事件は客観証拠に乏しい事件といえると思います。
そうすると,痴漢行為を立証するためには,どうしても被害者,目撃者の供述などの主観(供述)証拠に頼らざるをえません。
しかし,考えてみてください。
人の記憶ほど曖昧なものはありません。
人の記憶は,もともとその人の思い込み,先入観で汚染されている可能性がありますし,場合によっては人からの誤導や誘導で汚染される場合もあります。
また,時が経てば経つほど記憶は薄れ,事件時の記憶は曖昧になってくるものです。
痴漢事件では,痴漢行為の立証をそうした危険な供述に頼らざるを得ないことから,冤罪が生まれやすいと言われています。
~ 痴漢と疑われないために,疑われたら? ~
仮に,裁判で無罪と認定されたとしても,それまでに至る過程では大変な労力と時間を要します。
また,逮捕されたとなると,会社,学校,家庭,ご自身,ご家族の将来などに様々な影響を与えることでしょう。
そこで,痴漢の犯人と疑われないためにどうすればいいのか,疑われた場合はどうすればいいのか,考えられる対策を挙げてみました。
= 痴漢と疑われないために =
痴漢と疑われないためには,
・満員電車の中ではつり革につかまり,なるべく手は下げない
・満員電車は避ける(通勤方法を変える)
などの方法が考えられます。
= 痴漢と疑われたら? =
では,痴漢と疑われたらどうすればいいでしょうか?
* やってないと明確に告げる *
まずは,「自分はやっていない」と明確に告げましょう。
一度痴漢をやったことを認めると「あのときは認めたではないか」などと反論されて,「やってない」という話自体信用されなくなります。
* 自ら微物検査,DNA型検査を依頼する *
微物検査とは犯人の手に被害者の衣服の繊維や皮膚片が付着していないかどうか,被害者の衣服に犯人の細胞片が付着していないかどうかを調べる検査です。
DNA型検査は,微物検査よりももっと精度の高い検査と言われています。
自ら依頼することにより,より身の潔白を証明することに繋がります。
* 余計なことは話さない(被害者に多く語らせる) *
「やっていない」とだけ告げた後は,余計なことは話さない方がいいとかと思います。
余計なことを話すと,それを言質にとってあれこれ追及される隙を与えることになりかえません。
* 現場の声を録音する *
難しいかもしれませんが,現場の生の声を録音することも一つです。
あとで,事件を検証するための有用な道具となります。
* 目撃者を引き留める,特定する *
これも難しいですが,犯人にとって有利な証言,不利な証言をする人にかかわらず,まずは目撃者を特定することも一つです。
弁護士を頼めば,後で弁護士から目撃者に話を聴いてもらうこともできます。
* その場にとどまり,弁護士を呼ぶ *
痴漢事件というと,駅の事務室に連れていかれるイメージがあるかと思います。
しかし,これは駅員,警察官の都合であって,犯人がこれに応じる義務はありません。
その場にとどまり,まずは弁護士に連絡をつけて,その場に来てもらいましょう。
警察官などから連絡を遮断されそうなときも,はっきりと拒否しましょう。
執拗な場合は,その対応した警察官の名前や言動等を録音などで記録しておくとよいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,痴漢事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族,ご友人が痴漢冤罪事件で逮捕されお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
福岡県博多警察署への初回接見費用:34,300円