痴漢冤罪で逮捕

2019-08-22

痴漢冤罪で逮捕

~ケース~
Aさんは、北海道札幌市内を走る電車に乗車中、突然女性に腕を掴まれ「痴漢したでしょう。駅員のところに行きましょう」と言われ、話せばわかってもらえると思い、女性と一緒に駅員室に行きました。
ところが、駅員はAさんの弁解を全く聞こうとせず、「そういうのは警察で話してほしい」と言われ、取り合ってもらえません。
まもなく駆け付けた鉄道警察隊に札幌方面中央警察署へ連れて行かれ、痴漢の疑いで逮捕されたうえで取調べを受けました。
警察官からは2~3日泊ってもらうことになると言われ、困っています。(フィクションです)

~痴漢の嫌疑をかけられた場合に適用が検討される罪名を紹介~

主に①北海道迷惑行為防止条例違反の罪②強制わいせつ罪の成否が検討されることになると思います。

(北海道迷惑行為防止条例違反の罪)
以下に、北海道迷惑行為防止条例第2条の2第1号アを引用します。

第2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。

電車は「公共の乗物」に該当します。
法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっております(同条例第11条1項)。
常習性が認められる場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(同条例第11条2項)。

(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした場合も同様です。
法定刑は、北海道迷惑行為防止条例違反の罪と比べて重く、6月以上10年以下の懲役となっております(刑法第176条)。
強制わいせつ罪は、北海道迷惑行為防止条例のように、「公共の場所又は公共の乗物にいる者」といった場所の制限がありませんので、電車内であっても、あるいは密室であっても、上記の行為を行えば強制わいせつ罪が成立します。

北海道迷惑行為防止条例違反の罪に留まるか、強制わいせつ罪が成立するかの線引きは、主に痴漢が「わいせつな行為」に至ったか否かで決まります。
具体的には、単に被害者の臀部などを着衣越しに触っただけであれば北海道迷惑行為防止条例違反の罪に留まる可能性が高いでしょう。
他方、下着の中に手を入れ、直接臀部を弄んだりした場合には、「わいせつな行為」に至ったものと判断され、強制わいせつ罪の成否が検討される可能性が高いです。
また、この場合、わいせつ行為自体が「暴行」と考えられます。

~痴漢冤罪が生まれる理由~

もちろん、Aさんが女性を触っていないのであれば、Aさんに北海道迷惑行為防止条例違反の罪強制わいせつ罪が成立することはありません。
もっとも、電車内など人が密集している場所では、人の動きで偶然触ってしまったり、被害者の勘違いなどの理由によって、痴漢をしたと疑われてしまうことがあります。
また、被害者は確かに誰かに触られたが、真犯人ではない人を犯人であると誤解してしまうことも考えられます。
痴漢冤罪が生じる理由として、上記のような誤解から、刑事事件の被疑者になってしまうことが挙げられます。

~取調べではどうなるか?~

警察官は電車に乗った理由、経緯、女性を触った事実の有無などについて尋ねてくるでしょう。
ここで認識どおりに供述すればよいと思いますが、「女性を触った事実」については「たまたま触れてしまったということはないか」、「少しは触れてみようという考えがあったんじゃないのか」というように、ジリジリと故意に触れたという供述を引き出す取調べを行われることが珍しくありません。
触れた覚えもないのであれば、きっぱりと触れた覚えがないと回答すべきでしょう。
弁解をきいてもらえそうもないのであれば、黙秘するという手もあります。

取調べで供述した内容は、調書としてまとめられ、のちに裁判でAさんの有罪を立証するための証拠として用いられることがあります。
調書は警察官が読み上げるか、あるいはAさん自身が読むことによって、供述した通りに調書が作成されているか確認できる機会があります。
このときに署名を求められますが、供述したとおりに作成されていなければ、署名を拒否すべきでしょう。

~まずは弁護士に相談~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
最近では、痴漢冤罪事件において、勾留できる相当な嫌疑がないものとして、勾留されずに済むケースもみられるようになっています。
接見にやって来た弁護士から、取調べ対応につき助言を受け、取調べに臨むことをおすすめします。
ご家族が痴漢事件逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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