痴漢事件の取調べ

2019-11-10

痴漢と取調べ

痴漢事件取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

福岡県飯塚市に住むAさんは、通勤途中の満員電車内で、突然、Vさんから「この人痴漢です」と言われ腕を捕まれました。Aさんは、痴漢をした覚えは一切ありませんでした。しかし、AさんはVさんから協力を求められた周囲の男性数名に囲まれ、次の停車駅で降ろされ、数分後に駆け付けた福岡県飯塚警察署の警察官に事情を聴かれた後、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまいました。Aさんは連行された飯塚警察署で警察官による弁解録取の手続きを受けました。Aさんは、警察官に「痴漢行為はしていない。」「被害者の勘違い、見間違えだ。」などと主張しましたが聞き入れてもらえず、警察官から「否認すると身柄拘束が続くよ。」「被害者と示談した方が賢明だよ。」などと言われました。Aさんは弁解録取後に接見に来た弁護士に、改めて痴漢行為はしていない旨を伝えるとともに、弁護士から取調べにおけるアドバイスを受けました。
(フィクションです)

~ 痴漢はどんな罪に当たるの?罰則は? ~

いわゆる痴漢と言われる行為は、各都道府県が定めている迷惑行為防止条例(以下、条例)の「卑わいな行為の禁止」の罪に当たるかと思います。条例では、「公共の場所」あるいは「公共の乗物」における「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさえるような方法」による「他人の身体に触れ、又は衣服の上から触れる」行為を禁止しており、これが一般的にいわれる痴漢行為の規定です。。罰則も、通常、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。また、行為態様によっては、刑法の強制わいせつ罪(刑法176条、6月以上10年以下の懲役)に当たる可能性もあります。この罪の場合は「公共の場所」、「公共の乗物」という場所の要件は必要とされません。

~ 弁解録取とは? ~

弁解録取とは、逮捕された方から事件に関する弁解(話)を聴く手続きをいいます。警察官、検察官が行います。
警察官、検察官が引き続き逮捕された方の身柄を拘束する必要があるのかどうか判断するために必要なことから、かかる手続きが取られるのです。

弁解録取は法的には「取調べ」ではありません。しかし、弁解録取を受ける方にとっては取調べと変わりなく感じることでしょう。また、弁解録取時に話した内容は、逮捕された方にとって有利、不利を問わずのちのち証拠として使われる危険があります。したがって、弁解録取時から、取調べのために認められた以下の法的権利は躊躇なく行使する必要があります。

= 黙秘権=
   
  取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは、取調べ中は終始沈黙(黙秘)することができます。
 
= 増減変更申立権 =

  供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
 
= 署名押印拒否権 =

  供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
 
= 出頭拒否権、退去権 =

  在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。

~ 警察官の誘いに動じないように! ~

痴漢事件においては、被害者の話の内容、逮捕された方の話の内容が特に重要視されます。
しかし、取調べに当たる警察官は、特に本件のような場合、「被害者が勇気をもって申し出たのだから被害者の言っていることが本当だろう。」という考えを持つ傾向があります。また、自白はいまだに証拠価値が高い、と考えられる傾向にありますから、警察官はあの手この手を使ってあなたに罪を認めさせようとします。
警察署などの取調室内において、警察官から一方的に取調べを受ける場合、痴漢行為をしていないと主張し続けることは簡単ではありませんし、本件の警察官が言うことも、半分は真実で、そういわれた方にとっては、「そうであるならばいっそのこと認めてしまおう。」という気持ちになることも無理はありません。
しかし、いったん罪を認めてしまうと、あとでそのことを覆すことは大きな手間と時間がかかります。本当に痴漢を行っていないならば、その主張、態度を貫くしかありません。

弁護士であれば、そうした主張、態度を貫くあなたの味方となれます。お困りの方は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。ご家族、ご友人が痴漢事件で逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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