痴漢事件と起訴・正式裁判
1 検察官の事件処理
検察官は、痴漢事件で逮捕した被疑者について、事件の処理をします。
事件の処理として、被疑者を裁判所での公判手続にかけるという起訴(公訴の提起)、一定額の罰金などを正式裁判ではない簡易な手続きで科す略式命令・略式手続、公訴の提起をしないという不起訴処分、などがあります。
起訴とは、検察官が、裁判所に対して、特定の刑事事件について審判を求める意思表示のことをいいます。
そして、起訴は、検察官のみすることができます(刑事訴訟法247条)。
これを検察官の起訴独占主義といいます。
一方で、検察官は、捜査の結果、被疑者が犯人であると立証することのできる十分な証拠があるとしても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況等により、事件を起訴しないこともできます(刑事訴訟法248条)。
これを起訴便宜主義といいます。
このように、検察官は、事件をどのように処理するか広範な裁量をもっているといえます。
2 不起訴処分と起訴(公訴の提起)
検察官が、不起訴処分とした場合には、そこで事件は終了し、裁判で審理されることもありません。
また、前科もつきません。
被疑者が身柄拘束されている場合には、検察官の不起訴処分により釈放されます。
一方で、検察官が、事件を起訴(公訴の提起)した場合、原則、正式裁判として裁判所にて事件が審理されることとなります。
そして、裁判の審理の結果、有罪判決を言い渡されると、被告人は前科がついてしまいます。
また、事件の内容や地域によっても異なりますが、検察官に起訴され、正式裁判となると、長期間の裁判になることもあります。
3 起訴の流れ
検察官は、裁判所に対して、起訴状を提出することによって、起訴(公訴の提起)します。
検察官が、起訴すると、被告人のもとにも起訴状が届けられます。
痴漢行為による強制わいせつ事件等で逮捕・勾留中の被疑者や在宅事件として捜査されていた被疑者も、起訴状を受け取ります。
起訴後は、原則として捜査が終了しており、基本的に被告人は捜査機関による取調べを受けることはありません。
もっとも、余罪がある場合には、起訴後であっても、余罪についての捜査や取調べが行われることがあります。
起訴されると、捜査段階に弁護人を選任していなかった場合でも、貧困などを理由に国選弁護人を選任することができます。
痴漢事件の場合、基本的に、被疑者国選弁護人は選任できません。
しかし、私選弁護人であれば、いつでも選任できます。
捜査段階から弁護士に相談し、適切な対応をとることができれば、起訴を免れることも不可能ではありません。
被疑者段階でも、迅速に弁護人を選任することをお勧めします。
起訴後は、身柄拘束されている被告人が、保釈請求を行うことができます。
起訴される前の段階では、「保釈」という制度はありません。
被告人の保釈請求に対し、裁判官が保釈を認めた場合、被告人は保釈保証金を納付することで、留置施設から釈放されます。
4 痴漢事件と起訴
痴漢事件においては、在宅事件として捜査されることもあります。
在宅事件の場合、被疑者は日常生活を送りながら捜査機関での取調べなどを受けます。
痴漢事件を捜査していた警察から事件が検察庁に送られ、検察官による被疑者の取調べがあったのち、起訴や不起訴の処分がされることとなります。
被疑者が痴漢行為を認めて反省している場合や、被害者への謝罪や示談が整っている場合には、検察官が、不起訴処分や略式手続による罰金刑を請求することも十分ありえます。
もっとも痴漢冤罪事件で、被疑者が事実を否認しているような場合には、起訴され正式裁判になることもあります。
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