痴漢・わいせつ事件を執行猶予にしてほしい

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

 

【ケース】

Aさんは、地下鉄で、女子高生Vのスカートの中に手を差し入れ、陰部を触りました。
Aさんは、強制わいせつの容疑で、警察署に逮捕・勾留されました。
Aさんは、普段はまじめなサラリーマンで、妻と幼い子どもの3人で暮らしていました。
 
弁護人は、奥さんの依頼を受け、初回接見へ行きました。
Aさんは、弁護人に対して、女子高生の陰部を触った事実を認め、強く反省しています。
 
弁護士は、すぐにAさんの勾留決定に不服を申し立て、Aさんは釈放されました。
一方で、弁護人は、女子高生Vの両親に謝罪と被害弁償を申し入れました。
しかし、未成年のVと両親の被害感情が強く、示談することができませんでした。
検察官は、Aさんの事件を、在宅で捜査したうえ、地方裁判所に対して、Aさんの起訴状を提出しました。
 
Aさんは、刑務所に入ることを避けたい、執行猶予にして欲しい、と希望しています。 (フィクションです。)

 

1 痴漢・不同意わいせつ(旧 強制わいせつ)

ケース1では、Aさんが不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)刑法第176条:6月以上10年以下の拘禁刑)の容疑で逮捕されています。

陰部を直接触るような場合には、迷惑防止条例ではなく、不同意わいせつ罪で捜査・逮捕されやすいといえます。
そして、不同意わいせつ罪は、条例違反の場合と異なり、罰金刑がありません
Aさんは、不同意わいせつ罪で起訴され、実刑判決を受けた場合には、刑務所に入ることとなります。
 
また、ケース1のように、被害者が女子高生など未成年の場合には、未成年の被害者本人やご両親の被害感情が強く、示談に一切応じてもらえない場合もあります。
 
被害感情が強く、示談も成立していない本件のような場合、検察官は被疑者を起訴することも十分に考えられます。
しかし、起訴前に当事者間で示談が成立した場合、検察官は不起訴処分をするケースも多くあります。
 

2 刑の執行猶予

刑の執行猶予(刑法第25条~)は、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その間に罪を犯さないことを条件として執行猶予期間の経過により刑の言渡しの効力を消滅させる制度です。

これは、犯罪の情状が比較的軽く、現実に刑を執行する必要性がそれほど大きくない犯人に対し、刑罰の執行及び前科による社会生活での弊害を避けるとともに、希望を持たせることで再犯防止の目的を達成しようとするものです。
 
刑の執行猶予は、3年以下の拘禁刑、又は50万円以下の罰金の有罪判決を言い渡すときにつけることができます。
 
有罪判決で執行猶予が言い渡されると、判決が確定しても直ちに刑の執行を受ける(刑務所へ入る)必要はなくなります
執行猶予期間は、1年~5年間です。
 
ケース1の場合、Aさんに執行猶予が付けられると、直ちに刑務所に入ることはなくなります。
そして、何事もなく執行猶予期間を過ごすことができた場合には、有罪判決の言渡しの効力は失います。

執行猶予期間中、Aさんは仕事へ通うこともできます。
そのため、日常生活を送りながら、再犯防止・更生をしていくことができます。

3 執行猶予制度の改正

改正刑法に基づき、2025年6月1日から、新しい執行猶予制度が施行されています。2025年6月1日以降の事件に適用される新しい執行猶予制度の主な改正点は以下になります。

 

(1)再度の執行猶予の条件緩和

これまでは、1年以下の懲役または禁錮を言い渡す場合のみ、再度の執行猶予が可能でした。

改正後は、2年以下の拘禁刑(懲役と禁錮の一本化)を言い渡す場合にも、再度の執行猶予が可能になります。

拘禁刑の上限が1年から2年に引き上げられたため、再度の執行猶予の対象となる刑の幅が広がります。

 

(2)保護観察付執行猶予中の場合の再度の執行猶予

改正前は、保護観察付執行猶予中に再犯した場合、再度の執行猶予は不可能でした。

改正後は、保護観察付執行猶予中に再犯した場合でも、再度の執行猶予が可能となります。

ただし、再度の執行猶予期間中に再犯した場合は、保護観察の仮解除中を除き、さらに再度の執行猶予を付すことはできません。

 

(3)執行猶予期間満了後の再犯の場合の効力継続

執行猶予期間中の再犯について公訴が提起された場合、執行猶予期間満了後も一定の期間は、刑の言渡しの効力及びその刑に対する執行猶予の言渡しが継続しているものとみなされます。

これにより、いわゆる「弁当切り」(前刑を失効させるために公判の引き延ばしをする行為)はできなくなったと考えられます。

 

4 痴漢・わいせつ事件で執行猶予を獲得するには

刑の執行猶予を獲得するには、早期の段階から一貫した弁護活動を行うことが重要です。
検察官に起訴される前の弁護活動、起訴後の弁護活動を一貫して信頼できる弁護士に依頼することが、事件の解決につながります。

既に起訴された被告人は、すぐに痴漢事件の弁護に詳しく、信頼できる弁護士に相談してください
刑事事件・少年事件に特化した法律事務所・弁護士は、刑事事件特有の厳格な時間制限のもと、迅速な弁護活動をしてくれることが期待できます
さらに、痴漢・わいせつ事件をはじめとする刑事事件・少年事件について経験豊富な弁護士は、今後の見通しに基づく適切な弁護活動をすることができます。
 
弁護士法人 あいち刑事事件総合法律事務所 は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所として、開所以来、数々の事件を解決してきました。
所属弁護士は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っています。

痴漢・わいせつ事件で起訴された方、執行猶予を獲得したい方、 
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まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所0120-631-881までお問い合わせください
 

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