【事例解説】電車内で泥酔した女性への痴漢で後日逮捕（前編）
電車内で泥酔した女性に痴漢をしたとして後日逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、飲んだ帰りに自宅の最寄り駅までの終電に乗っていました。
周りを見渡したところ、酔いつぶれている女性Vがいるのを見つけました。
周りに乗客が少なかったこともあり、多少触ってもバレないのではないかという考えがAさんに浮かんできてしまい、Aさんは女性Vを介抱するふりをして、胸やお尻を触る等の行為をしました。
しかし、女性VさんはAさんに触られたことに気付いていたもののアルコールの影響で抵抗ができない状態でした。
自宅の最寄り駅についたAさんは女性Vをそのまま寝かせて電車を降りて家路につきました。
体調が回復した女性VさんAさんが電車から降りたことを確認して、次の駅で電車を降りて駅員に被害を訴えました。
警察が電車内の防犯カメラの映像を確認したところ、犯行に及ぶAさんの姿が映っており、これが決め手となり翌日Aさんは不同意わいせつの疑いで逮捕されました。
警察からAさんを逮捕したと連絡を受けた、Aさんの父は詳しい状況を知るために弁護士に初回接見を依頼しました。
（フィクションです。）
電車内で酔いつぶれている女性に対するわいせつ事件
事例のAさんのように、電車で酔いつぶれている女性に対して胸やお尻を触るという痴漢行為は、刑法１７６条（出典/e-GOV法令検索）が規定する不同意わいせつ罪に問われる可能性のある行為です。
不同意わいせつは、次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合に成立します。
そして、次に掲げる行為として１７６条１項３号には「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること」と規定されています。
今回のAさんの行為は、電車で酔いつぶれている状態の女性に対するわいせつ行為であるので、アルコールの影響があることに乗じてわいせつ行為を行ったと判断されてしまう可能性が高いでしょう。
不同意わいせつ罪の法定刑は、６月以上１０年以下の拘禁刑となっており、法定刑に罰金刑が定められていません。
そのため、不同意わいせつ罪で起訴されてしまうと必ず公開の法廷での刑事裁判が行われることになります。
