卑わいな言動で逮捕

2020-01-04

卑わいな言動で逮捕

今回は、「卑わいな言動」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、宮城県仙台市内の駅構内において、女性Vに声をかけ、女性の裸が描写された写真を示し、「写真の意味について解説してもらえませんか」などと告げました。
Vは恐怖にかられ、警察に通報しました。
Aさんは、間もなく駆け付けた鉄道警察隊により、宮城県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕され、仙台中央警察署に連れて行かれることになりました。(フィクションです)。

~ケースでは何罪が成立するのか?~

宮城県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
駅構内で痴漢や盗撮を行うと、迷惑行為防止条例違反の罪に問われることが多いですが、Aさんの行為は、性的な図画を女性に見せ、描写された内容について解説を求める、という変わった態様のものです。
そもそも盗撮ではありませんし、また、典型的な痴漢とも異なるように思われます。
それでも宮城県迷惑行為防止条例違反の罪に問われるのでしょうか。

宮城県迷惑行為防止条例第3条の2第1項4号を以下に抜粋します。

第三条の二 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
一 省略
二 省略
三 省略
四 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

4号の「卑わいな言動」を解釈することが、宮城県迷惑行為防止条例違反の罪の成否を決めるのに不可欠です。
「卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう」と解されています(最高裁判所第三小法廷平成20年11月10日決定)。

(Aさんの行為の検討)
日常生活において、見知らぬ者に性的な図画を示し、これに対する意見を求めたり、その内容を認識させた上でこれを説明させることは、破廉恥な言動であって、控えるべきこととされていると思われます。
このような社会通念が妥当している場合、ケースのような行動は「性的道義観念に反する下品でみだらな動作」と評価される可能性があります。
したがって、Aさんに宮城県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は存在すると言わざるを得ません。

~Aさんに向けた弁護活動~

今回のケースはやや特殊なので、いくつかの選択肢があります。

(「卑わいな言動」に該当しないと主張する)
そもそも「卑わいな言動」とは言えない、と主張することが考えられます。
この主張が容れられれば、起訴された場合であっても、無罪判決を獲得できますし、検察官が不起訴処分を行うことによって、最初から裁判にならないことも考えられます。

Aさんは一瞬、性的な写真をVに見せ、感想を求めたにすぎません。
Vにしつこくつきまとい、感想を執拗に求めた、という場合には、卑わいな言動に該当する可能性がより高まりますが、Aさんの行為の態様を詳しく検討すると、「卑わいな言動」とまでは言えない、と評価できる余地があるかもしれません。

(身柄解放活動を行う)
Aさんは逮捕されています。
逮捕・勾留が続くと、捜査段階において最長23日もの間身体拘束を受けることになります。
勾留されたまま起訴されると、さらに勾留が長引きます。

長期間外に出られないでいると、勤務先を解雇されたり、学校を退学させられたり、留年するなどの不利益を被る可能性が飛躍的に高まります。
そのため、一刻も早く外に出ることを目指さなければなりません。

ケースの場合、
「Aさんの行為は卑わいな言動に該当しない」→「したがって、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がなく、勾留の理由がないから釈放すべきである」、
「Aさんには確かな住所があり、また勤務先・学校もある、被害者とも接触しないようにするし、それを監督する信頼できる身元引受人を用意できる」→「したがって、逃亡・罪証隠滅のおそれがないから釈放すべきである」
などと主張し、釈放を目指していくことになります。

~被害者と示談をする~

「卑わいな言動」に該当しないと主張する場合であっても、Vに迷惑をかけてしまったので示談金を支払い、謝罪をする、という活動も考えられます。
示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものと判断され、釈放される可能性が高まります。
また、検察官が不起訴処分を行う可能性も高まります。

接見にやってきた弁護士と十分打ち合わせ、事件解決を目指して活動しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が宮城県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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