【報道解説】防犯アプリで痴漢を現行犯逮捕

2022-09-27

【報道解説】防犯アプリで痴漢を現行犯逮捕

電車内痴漢の被害を受けている女性が、防犯アプリをきっかけに犯人が現行犯逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「通勤電車内で女性を取り囲んで痴漢をしたとして、警視庁池袋署は22日、自称埼玉県川口市、契約社員の男(34)を強制わいせつ容疑で、50歳代の無職男を東京都迷惑防止条例違反痴漢)容疑で逮捕したと発表した。
逮捕は15日。
発表によると、契約社員の男は15日午前9時頃、赤羽―池袋駅間を走行中のJR埼京線の電車内で、20歳代の女性の下半身を触った疑い。
無職男も女性の体に自身の下半身を押しつけた疑い。
いずれも容疑を認めている。
契約社員の男と無職男に面識はなかった。
女性は当時、2人を含む5人ほどの男に不自然に囲まれていて、防犯アプリで被害を訴えたという。
気づいた乗客が契約社員の男らを取り押さえて駅員に引き渡した。」

(令和4年9月23日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【防犯アプリとは?】

今回取りあげた報道の中で登場する「防犯アプリ」は、別の報道によると、警視庁が配信している防犯アプリの「Digi Police(デジポリス)」というアプリのようです。
このデジポリスの機能のひとつに「痴漢撃退機能」という機能があります。

具体的には、「痴漢撃退機能」を起動するとスマートフォンの画面に大きく「痴漢です 助けてください」という文字が大きく表示されて、画面をタップすると「助けてください」という音声がなって、周囲の人に痴漢被害にあっていることを知らせることができます。
また、痴漢の被害を受けている本人だけではなく、周囲の人が「ちかんされていませんか」という画面をスマートフォン上に大きく表示することも出来るようです。

取りあげた報道の女性も、こうした機能を使って周囲の人に痴漢されていることを知らせたことで犯人を現行犯逮捕することができたと考えられます。

【なぜ犯罪の名前が違うのか?】

ところで、今回逮捕された被疑者は2人いますが、契約社員の30代男性は強制わいせつ罪の疑いで、無職の50代男性は東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されています。
同じタイミングで同じ女性に対して痴漢をした疑いがあるのに、どうして罪名が違っているのかと疑問に思われた方がいると思いますが、これはそれぞれの痴漢行為の具体的な態様が異なるためであると考えられます。

明確な基準が定められている訳ではありませんが、服の上から相手のお尻に触れたという場合は迷惑行為防止条例で、下着の中に手を入れて直接陰部を触ったり弄んだりする行為は強制わいせつ罪として立件される傾向にあるといえます。
報道では、30代の男性は女性の下半身を触った疑いがあり、50代の男性は性の体に自身の下半身を押しつけた疑いがあるとのことで、それ以上の具体的な行為の態様は明らかではありませんが、被害に遭った女性の証言などからそれぞれ強制わいせつ罪東京都迷惑行為防止条例5条1項1号違反に当たる行為をした疑いがあると警察が判断したと考えられます。

ちなみに、強制わいせつ罪の法定刑は6カ月以上10年以下の懲役で、東京都迷惑迷惑行為防止条例5条1項1号に違反した場合の法定刑は6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていて(同条例8条1項2号)、強制わいせつ罪の法定刑の方が重く処罰されることになります。

【他の人は罪に問われないのか?】

報道では、被害者の女性は5人ほどの男性に不自然に囲まれて痴漢の被害に遭ったそうです。
このうち2人の男性は今回逮捕された30代男性と50代男性ですが、女性を囲んでいた他の男性も痴漢行為をしたのであれば当然罪に問われますし、仮に痴漢行為をしていなくても、女性の逃げ道をふさぐ等の方法で、他の人が痴漢行為を行いやすくしたのであれば、強制わいせつ罪東京都迷惑行為防止条例違反幇助犯(刑法62条1項)として処罰される可能性があります。

また、さらに進んで幇助犯としてではなくて刑法60条が定める共同正犯として処罰される場合もあります。
共同正犯は自分が痴漢行為をしていなくても痴漢行為をしたものとして、痴漢行為をした人と同じ罪が成立する場合を言い、刑法63条1項で刑の減軽が定められている幇助犯と異なって、法律上減刑が定められていません。

そのため、今後の捜査状況によっては、残りの男性についても警察の捜査が及んで罪に問われる可能性があると考えられます。

【痴漢行為を認める場合の弁護活動】

混雑した電車内での痴漢事件の場合、痴漢行為を実際にしたかどうか、仮に被害者の身体に触れたとしても故意ではなかったということが裁判で争われるケースが珍しくないですが、捜査段階において、そのような事実関係について争わずに痴漢行為を認めるのであれば、被害者の方と示談を締結することが非常に重要になります。

被害者の方と示談を早期に締結することができれば、検察官による起訴を回避して、前科が付くことを避けることも可能になるでしょう。
このような示談交渉は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、痴漢事件での示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
痴漢事件で被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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