【事例解説】飲食店の女性への痴漢行為で逮捕
飲食店の女性への痴漢行為で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
愛知県在住のAさんは、仕事終わりに同僚数名と、ホステスに行くことになりました。
店に着き、お酒を飲み進めたところ、すっかり気が大きくなってしまったAさんは、ホステスの女性従業員Vさんに執拗にボディータッチをするようになりました。
最初は、Vさんも軽くあしらう程度でしたが、だんだんとエスカレートするAさんをみて、Vさんは強く嫌がりました。Aさんの同僚もAさんを静止しようとしましたが、Aさんの行為は止まらなかったため、Vさんは隙を見て警察に通報しました。そこで、Aさんは警察署に連行されることになりました。
(フィクションです)
【酒に酔った状態での痴漢行為が何罪に問われるか】
お酒を飲みすぎた状態で理性を失い痴漢行為をしてしまうと、刑事事件に発展し前科が付いてしまう可能性もあり、一度の過ちで人生を棒に振りまねません。
今回の事例は、そのように飲み会で飲みすぎたAさんが店員のVさんのお尻を服の上から軽く手で触るという痴漢行為をしたというケースですが、このような痴漢行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反または、不同意わいせつ罪になる可能性があると考えられます。
まず、迷惑行為防止条例違反とは、各都道府県が制定する迷惑行為防止条例に違反する罪で、愛知県迷惑行為防止条例2条の2は卑わいな行為の禁止を定めています。またこれに違反した場合の刑罰として、同15条1項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が定められています。
次に、不同意わいせつ罪とは、刑法176条(出典/e-GOV法令検索)に定められており、同176条所定の事由により、「同意しない意思を形成、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」という犯罪です。また、その刑罰として「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
このうち、いずれの罪で事件化するかは、認定される事実によって異なりますが、いずれの罪も刑罰として懲役が予定されているため、いち早く弁護士に依頼して、今後の対応を考えることをおすすめします。
【痴漢で前科が付くことを回避するには】
今回の事例において、Aさんは逮捕された訳ではありませんが、後日逮捕される可能性もあるため、早期段階において弁護士を事件に介入させることをお勧めします。
もしも逮捕に至った場合、まずは早期の身体解放を目指します。逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば、10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこで、これを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
また、その後は、被害者との間での示談交渉を行い、宥恕条項つきの示談締結を目指します。
早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指し、職を追われるリスクを少しでも軽減できるように努めます。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。