【制度紹介】刑法改正 痴漢行為の処罰への影響について②
刑法が改正されたことによる痴漢行為に対する処罰への影響について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
会社に通勤するために混雑する電車に乗っていたAさんは、目の前に立っていた女性のスカートの中に手を入れて下半身を触りました。
被害を受けた女性Vが声を上げたことで、近くにいた男性がAさんの犯行に気づき、Aさんは現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
「不同意性交等罪」について
まず、条文については以下のように変わります。
第177条 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛(こう)門性交、口腔(くう)性交又は膣(ちつ)若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
痴漢行為に対する処罰に影響を与える変更点としては、「性交等」に当たる行為の対象が拡大されたことにあります。
今回の改正により、膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為についても「性交等」に該当することになりました。
そのため、痴漢行為の中で、身体の一部若しくは物を被害女性の膣若しくは肛門に入れたような場合には、その他の要件を満たせば不同意性交等罪が成立する可能性があります。
痴漢事件に強い弁護士
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