【事例解説】痴漢事件で理学療法士の男が逮捕(後編)

2024-11-28

痴漢事件で理学療法士の男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

満員電車

【事例】

病院に理学療法士として勤務するAさんは、通勤中の満員電車で、女性Vさんに「この人痴漢です」と訴えられ、周囲の人に取り押さえられ電車から降ろされました。Aさんとしては身に覚えがなかったため、痴漢の事実を否定し、その場を離れようとしましたが、引き続き取り押さえられ、後、現場に駆け付けた警察によってAさんは現行犯逮捕されることになりました。
(フィクションです)

【弁護活動について】

逮捕された際にはまず早期の身体解放を目指します。具体的には、逮捕後に勾留手続に進まないよう、逮捕後直ちに、弁護士が逮捕された者と面会して直接事件の内容を聴取することで、今後の事件の見通しを示し、取調べへの対応を検討します。
逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこでこれを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います
またこれらの身柄解放活動の後は、依頼者の意向に応じて2通りの弁護活動の展開が考えられます

①痴漢の事実を認める場合
痴漢の事実を認める場合は、被害者との間での示談交渉を行い、宥恕条項つきの示談締結を目指します
早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指します

②痴漢の事実を認めない場合
痴漢の事実を認めない場合は、弁護士との打ち合わせを通じて、最大限の防御活動を展開します。
具体的には、自白調書を作られないように取り調べへのアドバイスを行い、さらに嫌疑不十分での不起訴獲得を目指します
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、証拠調べや証人への反対尋問等を行い、無罪判決の獲得を目指します

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