痴漢事件における弁護活動を解説

2020-03-29

今回は、埼玉県内の電車内で痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、さいたま市内の電車内において、目の前の女性Vの臀部をスカート越しに触れてしまいました。
Aさんの犯行を目撃したWにより、AさんとVは次の駅で降ろされ、Aさんは駅員に引き渡されました。
まもなく駆け付けた埼玉県鉄道警察隊の警察官により、Aさんは、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪について解説~

ケースの事例を読むと、典型的な痴漢事件であることがわかります。
このような行為は、犯行を行った都道府県の制定する迷惑行為防止条例が禁止しています。
埼玉県で痴漢を行った場合は、「埼玉県迷惑行為防止条例」に違反することになります。

埼玉迷惑行為防止条例第2条4項は、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、・・・(中略)・・・人を著しく羞しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」と痴漢行為を禁止しています。

Aさんは、公共の乗物である電車内において、Vの臀部をスカート越しに触れており、当該行為をVが知ったのであれば、Vを著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせることになると思われます。
上記の事実関係によれば、Aさんに埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

上記行為に対する法定刑は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

~Aさんに必要な弁護活動~

刑事事件においては、「早期に弁護士と相談することが重要である」と言われています。
その理由はどのようなものでしょうか。

まず、逮捕後、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
送致後、検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めなければなりません。
勾留請求がなされた場合、裁判官が勾留の可否を審査します。
勾留されてしまうと、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
やむを得ない事由が認められ、勾留が延長されると、さらに最長10日間、身体拘束期間が延びることになります。

反対に、勾留が付かなければ、長期間身体拘束されずに外に出ることができます。
早期に弁護人を選任すれば、勾留を阻止する活動を行ってもらうことができるようになります。
身体拘束期間が3日程度ですめば、今まで通り会社などに出勤することができるかもしれません。
身体拘束期間が長引けば長引くほど、会社をクビになる可能性が高まりますし、Aさんの社会復帰という面においても弊害が生じます。

ただし、勾留をさせない活動は、私選弁護人でなければできません。
他にAさんの弁護活動を行い得るものとして、①国選弁護人、②当番弁護士があります。
国選弁護人は、Aさんが資力要件を満たしており、かつ、勾留決定が出た後に初めて付けられるため、勾留を防ぐ活動を行うことは出来ません。
また、当番弁護士は、逮捕された場合に1回だけ無料で接見にきてくれる弁護士ですが、身柄解放活動などの弁護活動を行うことはできません(私選弁護人として選任すれば別です)。
私選弁護人は、逮捕前であっても選任できるので、より早い段階からAさんの弁護活動を開始することができます。

もちろん、私選弁護人は「私選」というだけあり、弁護士費用は被疑者サイドで負担しなければなりません。
自身の経済的事情を考慮しながら、どの種類の弁護士が適切かを検討する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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