【痴漢事件】強制わいせつで逮捕・弁護士との接見の重要性
痴漢事件において強制わいせつとして逮捕された事例を題材に、弁護士との接見(面会)の重要性などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、通勤中の電車内において、着衣の上からVのでん部を数十分に渡って触り続けた。
警察官は、Aを強制わいせつの疑いで逮捕した。
Aの家族は、痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~強制わいせつと迷惑防止条例違反~
各都道府県はいわゆる「迷惑防止条例」(正式名称は都道府県によって異なります。)を制定し、条例内に痴漢行為の処罰規定を置いています。
そして、迷惑防止条例違反の場合、その法定刑は「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」といった形で定められていることがほとんどです。
これに対し、強制わいせつ罪(刑法176条)は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」と定めています。
つまり、強制わいせつ罪の場合の法定刑は(前段、後段に関わらず)「6月以上10年以下の懲役」と、迷惑防止条例違反と比べてもかなり重いものとなっていることに注意が必要です。
そして本件では、Aはこの重い強制わいせつ罪によって逮捕されてしまっています。
では、強制わいせつ罪としての痴漢行為と迷惑防止条例違反としての痴漢行為はどのようにして区別されているのでしょうか。
実務上、その区別は必ずしも明確とはいえず、陰部や乳房等の性的部位を直接触るなど強制わいせつとされる典型的なもの以外はケースバイケースで判断するほかないように思われます。
その上で、既述のように強制わいせつと迷惑防止条例違反には法定刑に大きな差があることから、個人の性的自由への侵害の重大性が区別の基準の一つになると考えられているようです。
本件についてみてみると、Aは電車内でVのでん部を触っていますが、これはあくまで着衣の上からにすぎません。
しかし、着衣の上からとはいえ、その態様は数十分以上に渡り執拗に触り続けていることから性的侵害の重大性が認められると考えられます。
したがって、Aの行為は、迷惑防止条例違反にとどまらず、強制わいせつ罪が成立すると考えることも十分に可能なケースと思われます。
~逮捕直後における弁護士による接見(面会)の重要性~
逮捕されてしまった場合、被疑者は外界と隔絶され、基本的に外部との連絡手段を断たれてしまいます。
したがって、逮捕後に何よりもまず重要になるのが、弁護士との接見(面会)です。
弁護士による接見交通権は、憲法上の弁護人依頼権に由来する法的に認められた重要な権利です(刑訴法39条1項参照)。
現在自らがどのように立場に置かれており、今後どのように対応していく必要があるか専門家であり外界との連絡手段を有する弁護士と十分に話し合う必要があります。
特に、捜査官等に対してどのように対峙すべきか等は、専門家である弁護士のアドバイスなしに判断することは困難であり、孤立した状態で独断で判断してしまうのは非常に危険です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつを含む痴漢事件などの刑事弁護を行っている刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件の弁護活動の経験を多数有する弁護士がご相談を承ります。
強制わいせつ事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。