集団痴漢事件で逮捕・共犯事件における弁護活動

2020-10-31

集団痴漢事件で逮捕された事例を題材に、共犯事件における弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

東京都杉並区に住むAら(Xを含む)は、痴漢行為が露見しないように集団で痴漢を行うことを計画した。
この計画に基づき、Aらは電車に乗り込み、痴漢行為が露見しないようにVの周りを取り囲んだ。
そしてXは、Vの衣服の上から下半身を触るなどの行為を行った。
警視庁荻窪警察署の警察官は、Aらを迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~電車内における集団痴漢事件~

本件では、AらはVに対する痴漢行為によって逮捕されるに至っています。
しかし、実際にVに痴漢行為を働いたのはXであり、AはVの身体に直接触れるような行為は一切していません。
このような場合でも、Aは迷惑防止条例違反に該当する行為を行ったといえるのでしょうか。

まず刑法における共犯規定を確認すると、刑法60条は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と規定しています。
同条は共同正犯について定めた規定であり、同条の適用が認められれば、他人が実行した犯罪行為についても正犯としての責任を負うことになります。
では、Aは「二人以上共同して犯罪を実行した者」といえるのでしょうか。
通説的な見解では、共同正犯が成立するためには、共謀と共謀に基づく実行行為が必要であると解されています。
ここにいう、共謀の有無は、意思連絡や正犯性の有無をもとに判断されることになります。
本件では、直接的な痴漢行為の実行犯であるXを含むAらは、事前に本件痴漢行為を行うことを計画しており意思連絡が認められます。
そして、犯行現場においてAらは、Xが周りにバレないように痴漢行為するためにVを取り囲んでおり、これはXが犯行を実現するために重要な役割を果たしているものといえ、正犯性を有すると考えられます。
以上から、AらとXの間に共謀が認められると考えられ、この共謀に基づいてXの痴漢行為が行われたといえることから、Aもまた共同正犯としての刑事責任を負うことになります。

~痴漢事件における弁護活動~

共同正犯としての刑事責任を負うかどうかについては、専門的な知識に基づいて個々の事件ごとに慎重に検討する必要があります。
共同正犯が成立しない場合にも、従犯(幇助犯)等の罪責を負う可能性があることから、専門家である弁護士に相談することが不可欠です。

また、迷惑防止条例違反などの比較的軽微な事件においては、逮捕段階という捜査の初期段階から弁護活動を行っていくことが重要になります。
しかし、現状刑事手続法上、逮捕段階で国選弁護人を選任することができないため、捜査の初期から弁護活動を行うためには私選の弁護士を選任する必要があります。
弊所では、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービス等を提供しており、早い段階から身柄釈放活動等を行っていくことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、共犯事件を含む痴漢事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
迷惑防止条例違反事件で逮捕された方のご家族は、年中無休・通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話でご一報ください。
夜中などに連絡が取りにくい時間帯に逮捕された場合でも、担当者が弁護士を派遣する初回接見サービス等をご案内することが可能です。

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