夜行バス痴漢で準強制わいせつ罪
夜行バス痴漢で準強制わいせつ罪
~事件例~
Aさんは、大阪市に向かう夜行バスに乗車していましたが、睡眠している乗客の女性Vに興奮してしまい、下着に手を突っ込み、陰部をもてあそびました。
Vはすぐに覚醒し、Aの行為に気付いたので、助けを求めて叫んだところ、すぐにバスは停車し、通報を受けて駆け付けた大阪府天王寺警察署の警察官に準強制わいせつ罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~準強制わいせつ罪とは?~
人の心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をする犯罪です(刑法第178条1項)。
「心神喪失」とは、意識喪失(睡眠・泥酔状態など)、高度の精神障害などによって性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。
責任能力の有無を判断する際に問題となる「心神喪失」(刑法第39条1項)とは異なる概念であり、刑法第39条1項の責任無能力者であったとしても、性的な意味について理解している場合には、準強制わいせつ罪における「心神喪失」には該当しません。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に抵抗することが不可能または著しく困難な状態にあることをいいます。
被害者が手を縛られている場合や、錯誤、畏怖状態に陥っている場合が準強制わいせつ罪における「抗拒不能」にあたります。
裁判で準強制わいせつ罪につき有罪が確定すれば、6月以上10年以下の懲役に処せられます。
事件例のVは、睡眠中であったことから、「心神喪失」状態にあったということができ、これを利用して陰部をもてあそんだ場合には、心神喪失に乗じてわいせつな行為を行ったということができると考えられるので、Aさんには準強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと思われます。
~Aさんは今後どうするべきか?~
Aさんのように、準強制わいせつ罪の疑いで逮捕された方は、通常、身柄の早期解放を望むと思われます。
さらに、起訴された場合、無罪判決を獲得するのは極めて困難であるため、不起訴処分の獲得を目指すべきです。
刑事訴訟法第248条によると、検察官は犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)とすることができます。
要するに、本当に犯罪を犯した場合であっても、裁判にかけられずに済む可能性が存在するということです。
不起訴処分を獲得できれば、前科がつくことも回避できます。
(身柄解放活動を弁護士に依頼する)
効果的な身柄解放活動を行うには、刑事手続きに関する高度な知識が必要であり、さらに、留置場の外で捜査機関や裁判官と交渉する必要があります。
そのため、留置場から出られないAさん本人が、効果的な身柄解放活動を行うことは極めて困難です。
そのため、法律の専門家である弁護士に外部で身柄解放活動を行うよう依頼されることをおすすめします。
(弁護士ができること)
逮捕され、身体拘束が継続する場合の手続きを大まかに説明すると、
「①逮捕→②検察官による勾留請求→③裁判官による勾留決定→④やむをえない事由があれば勾留延長→⑤検察官が起訴・不起訴を決める」
という流れになります。
検察官は勾留請求を「しなければならない」わけではありません。
勾留する必要がないと考える場合には、勾留請求をしないこともできます。
弁護士は、検察官に対し、Aさんを勾留する必要がないことを明らかにし、勾留阻止にむけて活動します。
また、勾留決定を行うのは裁判官なので、裁判官に対しても、勾留決定を行わないよう働きかけることもできます。
さらに、上記の活動が功を奏せず、勾留決定が出されてしまった場合には、「準抗告」(刑事訴訟法第429条1項2号)を行い、勾留の取消又は変更を求めることができます
(もっとも、一旦勾留されてしまった以上、どうしても認容率は低くなります)。
(不起訴処分に向けて)
検察官は、最終的にAさんを裁判にかけるかどうかを決定します。
弁護士は、Aさんに有利な証拠(Vさんとの示談書など)を収集し、検察官に起訴処分の必要がない旨を明らかにし、交渉します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しています。
ご家族、ご友人を準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されてしまった方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
(ご相談は0120-631-881まで。大阪府天王寺警察署までの初回接見費用:35,800円)