【事例解説】12歳の中学生による痴漢事件

2023-08-21

12歳の中学1年生が電車内で痴漢をした事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

12歳の中学1年生のAさんは、通学途中の電車内で隣に同級生のVさんが立っていることに気が付きました。
Aさんは、以前からVさんに対して好意を持っていたことから混雑した車内の状況を利用して手の甲でVさんのお尻を制服の上から触りました。
AさんとVさんは、同じ電車を利用していたことから、AさんはVさんに対する痴漢行為を定期的に繰り返していました。
ある日、AさんがVさんに痴漢行為をしたところVさんに手を掴まれて「痴漢したよね」と言われて、次の停車駅で一緒に下車しました。
Vさんが駅のホームで駅員に事情を話したところ、駅員が警察に通報して現場に警察官が駆けつけました。
(この事例はフィクションです)

12歳の中学生が痴漢事件を起こした場合は逮捕される?

電車の中で服の上からお尻を手で触れるといった痴漢行為をした場合、そのような痴漢行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反になる可能性が高いです。
もし大阪府の電車内で、そのような痴漢行為をしてしまった場合は、大阪府迷惑行為防止条例6条2項1号に違反して、同条例17条1項2号によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

事例のAさんも、Vさんのお尻を服の上から手の甲で撫でるといった迷惑行為防止条例に違反する痴漢行為をしているのですが、刑法41条が「14歳に満たない者の行為は、罰しない。」と規定していますので、12歳のAさんは迷惑行為防止条例によって刑罰が科されることはありません。
Aさんのように14歳未満の少年が本来であれば刑罰の対象になる行為をした場合、そのような少年のことを触法少年と言います。
繰り返しになりますが、触法少年は刑法41条によって罪に問われることがありませんので、警察に逮捕されることはありません。

12歳の中学生のお子さんが痴漢事件を起こしてしまったら?

触法少年痴漢事件を起こすと逮捕されることはありませんが、痴漢事件を警察に通報された場合は、警察による調査の実施が「必要であるとき」は、触法調査と呼ばれる調査が開始される場合があります(少年法6条の2第1項)。
触法調査は、「少年の情操の保護に配慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もって少年の健全な育成のための措置に資することを目的」として行われます(少年法6条の2第2項)。
そして、触法調査の結果、「家庭裁判所の審判に付することが適当である」と判断されると、痴漢事件が警察から児童相談所長に送致されることになります(少年法6条の6第1項2号)。
児童相談所でも調査が行われて、そこでも、「家庭裁判所の審判に付することが適当である」と認められると、痴漢事件が家庭裁判所へと送致されることになります(児童福祉法27条1項4号)。
事件の送致を受けた家庭裁判所で調査をし、触法少年の最終的な処遇を決定することになります。

このように触法少年の場合は、罪に問われることはなくても、以上のような流れで痴漢事件が処理されることもあり得ますので、12歳の中学生が痴漢事件を起こした場合は、まずは弁護士に相談して、今後についてご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
12歳の中学生のお子さんが痴漢事件を起こしお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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