埼京線車内の痴漢事件

2019-01-29

埼京線車内の痴漢事件

~ケース~

Aさんは、埼京線武蔵浦和駅付近を走行中の電車内において、目の前にいた女性Vの臀部を着衣越しに撫でてしまいました。
Vは突然の出来事に声が出ませんでしたが、偶然犯行を見かけた乗客がAさんの手を取り、「駅員のところに行こう」といいました。
Aさんは乗客に駅員室に連れて行かれ、駅員の通報を受けて駆け付けた鉄道警察隊に連行されてしまいました。
現在、引致された埼玉県浦和警察署で取調べを受けています。
Aさんはほんの出来心で痴漢行為をしてしまったとはいえ、大変なことになってしまい、今後自身がどうなるのか不安です。(フィクションです)

~いわゆる「痴漢」とはどのような犯罪か?~

一般に「痴漢」とされているものとして、①各都道府県が制定している「迷惑防止条例」が禁止する行為と、②刑法上の「強制わいせつ罪」(刑法第176条)があります。
両者は行為態様によって分かれますが、「わいせつ」な行為といえるまでの行為に至った場合には強制わいせつ罪、そうでなければ条例違反の罪が成立することになります。
Aさんのように、着衣の上から臀部を撫でた、というような場合は、一般的に「わいせつ」には至らないと考えられているので、Aさんが犯行を行った場所の迷惑防止条例が適用される可能性が高いと思われます。

~迷惑防止条例について~

痴漢行為を処罰する条例は、一般に「迷惑防止条例」と呼ばれており、正確な名称は各都道府県によって微妙に異なっていますが、47都道府県すべてにおいて制定されています。
いずれも「粗暴行為」を処罰するという点では共通していますが、条文の文言も各都道府県によって様々です。
概ね、「公共の場所」や「公共の乗物」において、他人の身体や、衣服越しに身体を触る行為が処罰されます。
埼玉県迷惑行為防止条例は、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」をすることを禁止しており、これに違反し、裁判で有罪が確定すれば、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられます。

~逮捕されたAさんは今後どうなる?~

警察は、逮捕時から起算して48時間以内にAさんを検察官に「送致」します。
「送致」を受けた検察官は、24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかどうかを決めなければなりません。
検察官の勾留請求を受けた裁判官は、勾留する必要があると考える場合、「勾留決定」を行い、Aさんは最長10日間拘束されることになります。
さらに、やむを得ない事由があると「勾留延長」され、最長10日間拘束されることになります。
以上を合計すると、逮捕時から最長23日間身体拘束が続くということになります。
23日間もの間会社を無断欠勤したり、学校を休むとなると、会社をクビになったり、学校を留年したり、退学せざるを得ない状況に陥る可能性が高いです。
そのため、Aさんが無事に社会復帰するためには、一刻も早く身柄を解放してもらうことが必要です。

~弁護士が行う身柄解放活動~

先ほど、被疑者が逮捕された場合の刑事手続きを概観しましたが、「勾留請求」、「勾留決定」など、Aさんの身体拘束を継続するかどうかを決める機会がいくつかあることがわかります。
弁護士は、Aさんにとって有利な証拠を収集し、検察官や裁判官に勾留をしないよう働きかけます。
また、勾留されてしまった場合にも、「準抗告」を行い、勾留の取消等を求めて争うこともできます。
(もっとも、一旦勾留されてしまっていますから、準抗告の認容率は高くありません)

~被害者と示談する~

痴漢事件において、被害者と示談できるかどうかは非常に重要なポイントとなります。
示談が成立すれば、すぐに釈放されることもありますし、もし身体拘束が継続されるとしても、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
さらに、被害者から寛大な処分を望む旨の嘆願書を差し入れてもらうことができれば、Aさんにとって非常に有利な証拠となりえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、痴漢事件も多数取り扱っております。
ご家族、ご友人の方が痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご相談ください。
(埼玉県浦和警察署までの初回接見費用:35,900円)

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