神奈川県迷惑防止条例違反(痴漢)で逮捕
神奈川県迷惑防止条例違反(痴漢)で逮捕
A(会社員)は,出来心から,出勤途中の満員電車の車内でVの身体を服の上から触るという痴漢を行った。
Aは,これに気づいたVや周りの乗客に取り押さえられ,神奈川県横浜市保土ヶ谷区の駅にて駅員に引き渡された。
その後,神奈川県保土ヶ谷警察署の警察官は,Aを神奈川県迷惑条例違反(痴漢)の疑いで逮捕した。
Aの家族は,痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~痴漢事件と迷惑防止条例~
我が国では,都市部を中心に,早朝の通勤時(通学時)といったいわゆるラッシュ時における電車の混雑が顕著であり,これを利用した痴漢事件等が後を絶ちません。
本件Aも出来心からVの身体を触っており,刑法犯(強制わいせつ罪等)には当たらないと考えられるものの,各都道府県が制定している迷惑防止条例が規定する迷惑行為に該当しうるため,条例違反によって逮捕されてしまっています。
~勾留を阻止するための弁護士の活動~
勾留とは,逮捕に引き続く身体拘束であり,原則10日,延長を含めて最大20日の身体拘束が生じる処分のことをいいます。
この20日(逮捕と合わせると最大23日)という期間は,本件Aのような会社員等にとってはあまりにも長い身体拘束期間であり,解雇などの可能性も含めた事実上の不利益が生じうる期間として十分なものといえます(もっとも,実際に職場がどういう対応をするかはケースバイケースではあるでしょう)。
刑事訴訟法は,このような逮捕に引き続く勾留の要件を以下のように定めています(刑事訴訟法207条1項本文・60条1項)。
まず,「勾留の理由」として,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合に,
・被疑者が定まった住居を有しないとき(1号)
・被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(2号)
・被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(3号)
の各号いずれかに当たり,さらに「勾留の必要性」が認められるときには,勾留が認められることになります。
さらに,この被疑者勾留ついては,近年出された最高裁判例の判断も確認しておくことが重要です。
最決平成26年11月17日は,まさしく本件と同じ電車内での痴漢事件についての判断であり,また勾留要件一般の判断に際しても重要な意義を持つと考えられています。
本事件は,逮捕後の検察の勾留請求が却下され,その後の検察官による準抗告によって勾留が認められたため,弁護側が特別抗告をしたものであり,最高裁は以下のように判示していいます。
「被疑者は,前科前歴がない会社員であり,原決定によっても逃亡のおそれが否定されていることなどに照らせば,本件において勾留の必要性の判断を左右する要素は,罪証隠滅の現実的可能性の程度と考えられ,原々審が,勾留の理由があることを前提に勾留の必要性を否定したのは,この可能性が低いと判断したものと考えられる。」
ここで重要なのは,いわゆる罪証隠滅のおそれは「現実的可能性」のあるものでなければならないとの判断です。
よって,弁護士による勾留阻止の活動にあたっては,AとVには面識がなくAがVに接触する現実的可能性が低いこと等を具体的に主張し,上述した勾留の理由(必要性)がない等の主張を行っていくことが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
逮捕自体の不利益に加え,勾留までされてしまうと不利益はさらに大きくなってしまいます。
痴漢事件で逮捕されてしまった方のご家族は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお電話して初回接見をお申し込みください。