痴漢で現行犯逮捕
痴漢で現行犯逮捕
~ケース~
神奈川県横浜市のAさんは、朝の通勤ラッシュ時の電車内において痴漢行為を週に2~3回程度繰り返していた。
ある日、Aさんが痴漢行為を行う目的でラッシュ時の電車に乗り、車内において通学中の女子高生の臀部を触るといった痴漢行為を行ったところ、頻発している痴漢犯人の検挙のために電車内をパトロールしていた警察官が、Aさんが痴漢行為を行っている様子を発見した。
神奈川県泉警察署の警察官は、その場でAさんの手を掴んで最寄りの駅で下車させた上で、Aさんを神奈川県迷惑行為防止条例違反で逮捕した。
(上記の事例はフィクションです)
~現行犯逮捕について~
電車内での痴漢行為については、都道府県の迷惑防止条例違反の罪または強制わいせつ罪が成立することになります。
強制わいせつ罪の成立には、被害者の抵抗を困難にする程度の暴行又は脅迫の存在が必要となることから、着衣の上から身体に接触するような一般的な痴漢事件の場合には迷惑防止条例違反にとどまるケースが多いです。
上記の事例では、Aさんは現行犯逮捕されていますが、どのような場合に現行犯逮捕が認められるのでしょうか。
刑事訴訟法212条1項は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と規定しています。
「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」といえるためには、①犯人と犯罪の明白性と②犯行と逮捕との時間的場所的接着性の2つの要件が必要であると考えられています。
上記の事例については、警察官がAさんによる痴漢行為を実際に目撃(現認)していることから、犯罪(痴漢行為の存在)と犯人(Aさん)が明白であるといえ、①は認められます。
また、警察官は、Aさんの痴漢行為後すぐにAさんを下車させ、その場で逮捕していることから②犯行と逮捕との時間的場所的接着性も認められます。
したがって、「現に罪を行い、又は罪を行い終わったと明らかに認められるとき」にあたり、Aさんは現行犯人であるといえます。
ちなみに、同法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定していることから、検察官や警察官以外の一般の人であっても現行犯逮捕を行うことはできます(これを私人逮捕といいます)。
~逮捕後の手続~
逮捕後の手続としては、警察署での取調べが行われ、逮捕から48時間以内に事件の書類や証拠が検察官に送られることになり(事件送致)、送致を受けた検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判官に対し勾留請求をするかを決定することになります。
仮に、検察官から裁判官に対し勾留請求がなされた場合、裁判官は被疑者を留置する必要があるかどうかを判断し、被疑者を勾留するかどうかを決定します。
勾留決定がなされた場合には、検察官は、原則として勾留請求の日から10日間(やむをえない事由があれば20日間)以内に被疑者を起訴するかどうかを決定することになり、被疑者はその間拘置所や留置所に身柄を拘束されます。
ここで起訴されてしまった場合には、保釈などがなされない限り、被疑者段階での勾留が自動的に被告人としての勾留に切り替わり、2か月間(その後は1か月ごとに更新あり)の身柄拘束がなされることになります。
このように、逮捕を伴う事件の場合には各種の手続に時間的制約が設けられていることから、短期間で事件処理が行われることが多いといえます。
そのため、ご自身やご家族、ご友人が逮捕されてしまった場合には、弊所の初回接見サービス等を利用してできる限り早期に弁護士に相談することが極めて重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しており、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
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