【否認事件】痴漢事件で逮捕・勾留請求を争う弁護活動
痴漢事件で逮捕され被疑者が否認している事例を題材に、勾留請求を争う弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、電車内において、乗車していたV女の身体に自らの性器を押し付けた。
警察官は、Aを迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕した。
なお、Aは一貫して容疑を否認している。
Aの家族は、痴漢事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~痴漢の否認事件~
本件ではAは痴漢の容疑で逮捕されてしまっていますが、痴漢の容疑を否認しています。
一般に、容疑を否認している否認事件は、容疑を認めている自白事件と比べ、身体拘束期間が長くなる傾向があるといわれています。
したがって、弁護士としては、被疑者の社会生活への影響を最小限化すべく、身体拘束処分を積極的に争っていくことが考えられます。
~ 痴漢事件で勾留請求等を争う~
まず、身体拘束処分として逮捕された後に重要になるのが、勾留の手続きです。
勾留が決まれば、被疑者はプラス10日(延長を含め最大20日)の身体拘束を受ける可能性があります。
したがって、弁護士としてはこの勾留決定を避けるための弁護活動を行っていくことが重要になります。
最も早い段階としては、検察官が勾留請求をする前(検察官送致段階、できればその直後)に、勾留の理由や必要性がないことを意見として伝えることが考えられます。
勾留の理由に関しては、(刑事訴訟法207条1項で準用される)60条1項に規定があります。
具体的には、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、勾留理由(⓵住所不定②罪証隠滅のおそれ③逃亡のおそれ)の⓵~③のいずれかが認められる必要があります。
また、これに加えて勾留の必要性が認めらえることも必要です。
上記に関連する重要な判例としては以下があります。
最決平成26年11月17日は、痴漢事件(迷惑防止条例違反事件)の事案において、
・「被疑者は,前科前歴がない会社員であり,原決定によっても逃亡のおそれが否定されていることなどに照らせば,本件において勾留の必要性の判断を左右する要素は,罪証隠滅の現実的可能性の程度と考えられ,原々審が,勾留の理由があることを前提に勾留の必要性を否定したのは,この可能性が低いと判断したものと考えられる。」
・「本件事案の性質に加え,本件が京都市内の中心部を走る朝の通勤通学時間帯の地下鉄車両内で発生したもので,被疑者が被害少女に接触する可能性が高いことを示すような具体的な事情がうかがわれないことからすると,原々審の上記判断が不合理であるとはいえないところ,原決定の説示をみても,被害少女に対する現実的な働きかけの可能性もあるというのみで,その可能性の程度について原々審と異なる判断をした理由が何ら示されていない。」
・「そうすると,勾留の必要性を否定した原々審の裁判を取り消して,勾留を認めた原決定には,刑訴法60条1項,426条の解釈適用を誤った違法」があるとしました。
これは、「罪証隠滅のおそれ」の程度は「具体的・現実的なものでなければならない」ものとするものです。
したがって、勾留請求に関する意見をする弁護士としては、当該事件においては罪証隠滅の具体的・現実的なおそれがないこと等を主張していくことになります。
そして、検察官が勾留請求をしなかった場合(や勾留請求はされたが裁判官が却下した場合)には、身体拘束が解かれる(=釈放される)ことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
上記のような迅速な弁護活動を行うには、素早い対応が必要となります。
迷惑防止条例違反(痴漢)事件で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお問い合わせください。