【報道解説】電車内の痴漢で逮捕後に処分保留で釈放
【報道解説】電車内の痴漢で逮捕後に処分保留で釈放
電車内で女性の体を触ったとして強制わいせつで逮捕された後に処分保留で釈放された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「列車内で女性の体を触ったとして強制わいせつの疑いで逮捕されたJR西日本金沢支社の29歳男性職員について、金沢地検は処分保留とし釈放したと発表しました。
男性職員は11月2日の午前7時半ごろ、県内を走る普通列車の中でボックスシートに座っていた10代女性の隣に座り、体を触るわいせつな行為をしたとして強制わいせつの疑いで逮捕されていました。
金沢地検は28日付けで処分保留として釈放し、今後は在宅で捜査を続けるということです。」
(令和4年11月29日に石川テレビで配信された報道より引用)
【電車内の痴漢行為は何罪になるのか】
公共の乗り物である電車内で見知らぬ女性の体を触ることを「痴漢」と表現することがあるかと思います。
こうした電車内の痴漢は、具体的にどういった行為をしたのかということで成立する犯罪が異なります。
被害者の女性の服の上からお尻や太ももといった箇所に手のひらや手の甲を押し付けるといった場合は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反になる可能性が高いと考えられます。
迷惑行為防止条例の場合にどういった刑罰が科されるかは、各都道府県によって異なりますが、例えば東京都の場合は6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(東京都迷惑行為防止条例8条1項2号)。
これに対して痴漢が迷惑行為防止条例違反ではなく刑法176条の強制わいせつ罪になる場合があります。
被害者の年齢が13歳以上のときに強制わいせつ罪が成立するためには、被害者に対して暴行又は脅迫を加えたうえで、わいせつな行為を行う必要があります。
「わいせつな行為」にあたる典型的なものとしては、女性の性器や乳房を直接触ったり、相手の唇にキスをしたりといったものがあります。
また、相手の胸やお尻を服の上から触った場合でも、単に手の甲を押し付けたという方法ではなく鷲掴みにしたりといったかたちで、服の上から被害者の性的部位をもてあそんだと言える場合には、迷惑行為防止条例違反ではなく強制わいせつ罪が成立することになると考えられています。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役刑となっています。
強制わいせつ罪の法定刑には罰金刑が定められていませんので、比較的刑が重い犯罪であると言うことが出来るでしょう。
【釈放されても事件は終わっていない】
電車内で女性の身体を触ったとして逮捕された後で釈放されたからといって事件がこれで終了したことにはなりません。
取り上げた報道の記事の中にもありますように、釈放された後でも事件の捜査は在宅のまま継続されることになります。
そのため、在宅で捜査が進められていた結果、検察官が起訴の決定をして最終的に前科がついてしまうということもあり得るところです。
電車内での痴漢について自分がやったと認める場合は、検察官が起訴の決定をする前に、弁護士を通じて被害者の方と示談を締結する事が重要です。
示談金の額や今後痴漢をした電車を利用しないと言った条件を提示しながら、痴漢の被害者の方に謝罪と反省の意思を示して示談を締結することができれば、不起訴になって前科が付くことを回避することができる場合があります。
そのため、まだ弁護士をつけていない場合は釈放後すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
電車内で女性の体を触って警察の捜査を受けている方、一度逮捕された後に釈放されて被害者の方と示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。