【事例解説】夜行バス内での痴漢で逮捕
夜行バス内での痴漢で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
会社員のAさんは、東京に行くために夜行バスを利用しました。
夜行バスに乗り込んで少ししてから、Aさんは横に座っていた女性のVさんが寝ていることに気付き、ズボンの上からふとももを触りました。
それでも、Vさんが起きる様子が無かったので服の下から手を入れて胸を直接触ったりもしました。
バスがパーキングエリアで停まったため、Aさんはバスからおりてトイレに行きました。
被害者のVさんは、Aさんがバスから降りた後、運転手に痴漢被害にあっていることを伝え助けを求めたため、運転手が警察を呼びました。
駆け付けた警察に、Aさんは不同意わいせつの疑いで逮捕されてました。
(フィクションです。)
夜行バス内での痴漢行為
痴漢行為は、被害者の尊厳を侵害するため、法的に厳しく取り締まられています。
この取締に関しては、行為態様によって3パターンの犯罪が成立する可能性があります。
1つ目は、迷惑行為防止条例違反です。
この条例は、公共の場での不適切な行為を防ぐ目的で各都道府県ごとに制定されています。痴漢行為もその対象となり、服の上から体に軽く触れた等の比較的軽微な痴漢行為は、この条例によって処罰されることが多いです。
この条例によって科される刑罰も都道府県ごとに異なり、例えば、「愛知県迷惑防止防止条例」に違反して痴漢行為をした場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となり(愛知県迷惑防止条例 第15条1項)、常習として繰り返し違反行為をした場合には、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」となります(第15条2項)。
他方、「岐阜県迷惑防止条例」に違反して痴漢行為をした場合は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(岐阜県迷惑防止条例 第13条1項1号)となり、「常習」として繰り返し違反行為をした場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります(第13条8項)。
2つ目は、刑法第176条(出典/e-GOV法令検索)に定められる不同意わいせつ罪です。
衣服やスカートの中に手を入れて直接体を触るなど、軽微とはいえないような痴漢の場合は、迷惑行為防止条例違反ではなく刑法に定められている「不同意わいせつ」で処罰される可能性があります。
刑法176条は刑罰として、「六月以上十年以下の拘禁刑(改正刑法施行までは「懲役刑)」が定められています。
3つ目は、刑法177条(出典/e-GOV法令検索)に定められている不同意性交等罪です。
不同意性交等罪では、膣若しくは肛門に身体の一部を挿入する行為も処罰の対象となっています。
そのため、痴漢行為といえども膣若しくは肛門に指を挿入したような事案の場合には不同意性交等罪が成立する可能性があります。
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑(改正刑法施行までは「懲役刑」)」となっいます。
行為態様によって成立する犯罪が変わり、法定刑も後に記載するにつれ重くなっていきます。
そのため、何罪の疑いで捜査が進められていくかは被疑者にとって重要になってきます。
旅行先で痴漢の疑いで警察に逮捕されたら?
警察から、旅行先でご家族を痴漢の疑いで逮捕したという連絡が来た場合は、一刻も早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌、仙台、千葉、さいたま、新宿、八王子、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の計12箇所に支部がある、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
そのため、ご家族様がご自宅から遠く離れた場所で逮捕されたという場合でも、逮捕された警察署に一番近い事務所から弁護士が初回接見に向かい、逮捕されたご本人から痴漢事件についてお話を伺うことで、事件の見通しや今後の流れ、どのような弁護活動がとることができるのかといったことについていち早く知ることができるでしょう。