Archive for the ‘事例解説’ Category
【事例解説】公務員の痴漢事件➁
前回に引き続き、地方公務員として勤務する者が通勤中に痴漢事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは地方公務員として勤務している男性です。
Aさんは、普段から職場まで電車で通勤していますが、朝の混雑する電車内で女性客と身体が密着することが多く、この状況であれば触ってもバレないのではないかと考えるようになりました。
ある日、Aさんはいつもと同じように電車で通勤中、電車内で女性Vさんと密着した際、今なら触ってもバレないだろうと考えて、Vさんの臀部を着衣越しに手で触る痴漢行為を行ってしまいました。
VさんはすぐにAさんの行為に気が付いたため、Aさんの手を掴みながら痴漢行為を咎めました。
その後、Aさんは駆け付けた駅員によって110番通報されることとなり、警察官に任意同行を求められて警察署で取調べを受けることになってしまいました。
(事例はフィクションです。)
各都道府県の迷惑行為防止条例について
各都道府県において、それぞれ個別に制定されているのものですが、基本的にな部分は同じと言えるでしょう。
ここでは愛知県が制定している条例を見てみましょう。
愛知県迷惑行為防止条例
(卑わいな行為の禁止)
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は、人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物の上から触れること
四 前各号に掲げるもののほか、人に対し、卑猥な言動をすること
(愛知県迷惑行為防止条例第2条の2)
第2条の2の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2項 常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
と制定されています。
(愛知県迷惑行為防止条例第15条)
愛知県迷惑行為防止条例で有罪判決となった場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとされ、さらに常習として前項の違反行為をした場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処するとされています。
※2025年6月1日から懲役と禁錮は、拘禁刑として施行されています。
不同意わいせつ罪について
事例の行為が条例ではなく、不同意わいせつ罪となってしまうと、6ヵ月以上10年以下の拘禁刑に処するとされています。
(刑法176条)
不同意わいせつ罪では、13歳未満の被害者に対して、わいせつ行為を行うと、同意があっても不同意わいせつ罪が成立することになります。
さらに、被害者が13歳以上16歳未満の場合は、わいせつ行為をした者が5歳以上年長の場合に限り、不同意わいせつ罪が成立することになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご相談のお問い合わせについては、24時間365日受付中です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
【事例解説】公務員の痴漢事件①
今回は、地方公務員として勤務する者が通勤中に痴漢事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは地方公務員として勤務している男性です。
Aさんは、普段から職場まで電車で通勤していますが、朝の混雑する電車内で女性客と身体が密着することが多く、この状況であれば触ってもバレないのではないかと考えるようになりました。
ある日、Aさんはいつもと同じように電車で通勤中、電車内で女性Vさんと密着した際、今なら触ってもバレないだろうと考えて、Vさんの臀部を着衣越しに手で触る痴漢行為を行ってしまいました。
VさんはすぐにAさんの行為に気が付いたため、Aさんの手を掴みながら痴漢行為を咎めました。
その後、Aさんは駆け付けた駅員によって110番通報されることとなり、警察官に任意同行を求められて警察署で取調べを受けることになってしまいました。
(事例はフィクションです。)
痴漢行為について
痴漢とは、公共の場所において相手の同意を得ることなく、わいせつな行為をすることを指します。
電車などの公共の場所において、衣服の上から臀部などを触る行為は痴漢行為として各都道府県が制定する迷惑防止条例に違反することになるでしょう。
さらに、服の中や下着の中に手を入れて直接、陰部をさわる様な行為をすれば、迷惑防止条例よりも処罰が重く規定されている不同意わいせつ罪が成立する場合もあります。
各都道府県の迷惑行為防止条例
条例は、各都道府県が法律に基づいて独自に制定しているものです。
条例違反で有罪判決となった場合でも、他の刑法犯の有罪と同様に前科がつくことになります。
前科がつくと、現職の公務員であれば懲戒処分の対象となったり、保有している資格の停止や剥奪、新たに資格取得ができなくなる恐れがあります。
地方公務員法
Aさんは地方公務員として勤務しているため、事件を起こしてしまった場合、地方公務員法にも抵触することになるでしょう。
地方公務員法には、失職の規定が記載されています。
職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失うと規定されています。
(地方公務員法第28条4項)
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者が挙げられています。
(地方公務員法第16条第2号)
※2025年6月1日から懲役と禁錮は、拘禁刑として施行されています。
このことから、Aさんが有罪判決を受ける場合において、拘禁刑が選択されてしまうと、地方公務員法第28条4項により、条例に特別の定めがある場合を除いて、失職してしまうことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご相談のお問い合わせについては、24時間365日受付中です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
【事例解説】被害者宅でのわいせつ事件(後編)
今回は、愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こして逮捕されてしまった事件について、早期に弁護士を依頼するメリット・デメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
名古屋市内に在住のAさんは、友人女性Vさんの家で夜通し話しをしていました。
一緒に飲んでいたアルコールの影響もあり、Vさんの意識がはっきりしなくなってきたので、「今ならわいせつ行為をしてもバレないのではないか。」と思い、Vさんの胸部や臀部を衣服越しから触る行為を行いました。
数分後、Vさんは、Aさんに触られていることに気付き、後日、警察にわいせつ被害を申告したため、Aさんは、警察署で取調べをを受けることになりました。
(事例はフィクションです。)
事例は何罪となるのか
事例の状況においては、Vさんのアルコールの影響により意識がはっきりとしていない状態にあると思われるため、「アルコールもしくは薬物を摂取させる、または被害者にそれらの影響があること」に該当するでしょう(刑法第176条1項)。
Aさんは、Vさんがアルコールの影響により、意識が不明瞭な状態で、何が起きたのか理解できない、わいせつ行為に同意しない意思を形成することができない事を認識した上で、Vさんに対するわいせつ行為に及んでいます。
このことにより、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
取調べを受けることになれば弁護士に相談
Aさんは、Vさんに対する不同意わいせつ行為により取調べを受けることになっています。
警察からの取調べを受けたことがない方にとっては不安が大きいと思われます。
初めて警察から取調べを受けることについて、不安があるのは当たり前のことで、取調べまでに時間の猶予があるのであれば、まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。
また、取調べ後に事件の事を相談することも大切です。
早期に弁護士への相談を行うことで、取調べの段階から事件を有利に進めることができるでしょう。
弁護士に相談・依頼するタイミングは早いに越したことはありません。
少しでも不安に思っているのであれば、まずは相談から始めましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご自身が不同意わいせつ罪で取調べを受けることになった、その他、刑事事件・少年事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料相談のご予約・初回接見の依頼は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお気軽にお電話ください。
【事例解説】被害者宅でのわいせつ事件(前編)
今回は、愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こして逮捕されてしまった事件について、早期に弁護士を依頼するメリット・デメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
名古屋市内に在住のAさんは、友人女性Vさんの家で夜通し話しをしていました。
一緒に飲んでいたアルコールの影響もあり、Vさんの意識がはっきりしなくなってきたので、「今ならわいせつ行為をしてもバレないのではないか。」と思い、Vさんの胸部や臀部を衣服越しから触る行為を行いました。
数分後、Vさんは、Aさんに触られていることに気付き、後日、警察にわいせつ被害を申告したため、Aさんは、警察署で取調べをを受けることになりました。
(事例はフィクションです。)
不同意わいせつ罪について
不同意わいせつ罪は、「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」場合に成立するとされています。
(刑法第176条1項)
不同意わいせつ罪の成立要件には下記の一定の要因が必要となります。
・暴行もしくは脅迫を用いる、または被害者がそれらを受けたこと
・心身の障害を生じさせる、または被害者にそれがあること
・アルコールもしくは薬物を摂取させる、または被害者にそれらの影響があること
・睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、または被害者がその状態にあること
・同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがないこと
・予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕させる、または被害者がその状態に直面していること
・虐待に起因する心理的反応を生じさせる、または被害者がその状態にあること
・経済的または社会的の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させる、または被害者が憂慮していること
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご自身が不同意わいせつ罪で取調べを受けることになった、その他、刑事事件・少年事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料相談のご予約・初回接見の依頼は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお気軽にお電話ください。
【事例解説】痴漢で逮捕され弁護士に初回接見を依頼(後編)
電車内の痴漢で逮捕、弁護士に初回接見を依頼した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
愛知県内の専門学校に通うAさんは、学校からの帰宅途中の電車内で、近くにいた女性Vさんに痴漢をしたことで警察に現行犯逮捕されました。
Aさんの母親であるBさんは、学校に行ったAさんと連絡がつかなくなり、深夜になっても帰ってこなかったことを心配して、警察にAさんの捜索を依頼しました。
そうしたところ、Aさんが警察に逮捕されていることを知ることができましたが、それ以上、Aさんが現在どのような状況なのか、今後どうなるのかといったことまでは警察からは教えてもらえませんでした。
そこで、Bさんは弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)
【不同意わいせつ罪で逮捕された場合の弁護活動】
今回の事例において、まずは早期の身体解放を目指します。
逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば、10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高く、学校側に逮捕・勾留されていることが伝われば、最悪の場合退学処分を受けることまで考えられます。
そこで、これを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
また、その後は、被害者との間での示談交渉を行い、宥恕条項つきの示談締結を目指します。
早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指します。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件を起こした等でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例解説】痴漢で逮捕され弁護士に初回接見を依頼(前編)
電車内の痴漢で逮捕、弁護士に初回接見を依頼した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
愛知県内の専門学校に通うAさんは、学校からの帰宅途中の電車内で、近くにいた女性Vさんに痴漢をしたことで警察に現行犯逮捕されました。
Aさんの母親であるBさんは、学校に行ったAさんと連絡がつかなくなり、深夜になっても帰ってこなかったことを心配して、警察にAさんの捜索を依頼しました。
そうしたところ、Aさんが警察に逮捕されていることを知ることができましたが、それ以上、Aさんが現在どのような状況なのか、今後どうなるのかといったことまでは警察からは教えてもらえませんでした。
そこで、Bさんは弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)
【痴漢をすると何罪に問われるのか】
電車内での痴漢行為については2023年の刑法改正により新設された不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
不同意わいせつ罪とは、刑法176条に定められており、同176条所定の事由により、「同意しない意思を形成、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」という犯罪です。また、その刑罰として「六月以上十年以下の拘禁刑」が定められています。
この罪は、これまでの強制わいせつ罪で処罰対象となっていた暴行や脅迫を用いたわいせつ行為だけでなく、被害者が行為に同意していない状況でのわいせつ行為も処罰対象としています。痴漢行為はまさしく被害者が行為に同意していない状況でのわいせつ行為の典型といえるため、今回の事例でも不同意わいせつ罪で捜査が進む可能性が高いでしょう。
【もしもご家族が逮捕されてしまったら】
もしもご家族が逮捕されてしまった場合、現在の状況の把握や今後どういった流れで事件が進んでいくのか、これから一体何をすればよいのか等、様々な面で不安を感じ、適切な対応をすることが難しいことが多いです。
そのため、ご家族が痴漢の疑いで警察に逮捕されたということを知った場合、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうよう依頼することをお勧めします。
弁護士は、逮捕された本人といつでも接見をすることができます。
つまり、逮捕直後であっても逮捕された本人から事件についてや、事件についてのご自身の認識等を伺うことができます。
これによって、事件の概要を把握し、今後の流れや事件の見通しといったことについて知ることができるため、現在の不安な気持ちを和らげることが期待できます。
また逮捕後には、逮捕された本人に対する取り調べが行われ、供述調書が作成されることになります。初回接見を通じて弁護士が逮捕された本人に対して、取り調べを受けるにあたってのアドバイスを行うことができる点も初回接見をご依頼するひとつのメリットになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ事件を起こした等でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
痴漢事件で逮捕 弁護士への早期依頼について(後編)
前回に引き続き。愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こし、逮捕されてしまった場合における、早期に弁護士を依頼するメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、愛知県内を走る満員電車において、近くにいた女性Vさんの臀部を触る行為をしていたところ、他の乗客から指摘されることとなり、Aさんは警察官に引き渡され、逮捕されてしまいました。
Aさんは通勤途中で今回の事件を起こしてしまい、このままでは職場に連絡することもできず、職を失ってしまうのではないかと不安に思っています。
(事例はフィクションです。)
身柄解放活動
逮捕されれば、警察から検察へ事件書類が送致され、検察官の取調べを受けていくことになります。
この時、検察官が勾留請求をして、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されてしまい、さらにやむを得ない事情があると認められれば、さらに最長10日間の勾留が延長されることになる場合もあります。
早期に弁護士を依頼することで、勾留の阻止を目指すことができるでしょう
示談交渉
事例のように、被害者がいる事件であれば、被害者との示談交渉を行うことがとても重要となってきます。
しかし、示談交渉をおこなおうとしても、連絡先もわからなければ示談交渉も難しく、仮に連絡先が分かっていたとしても、
・Aさんが罪証隠滅を図っていると疑われるおそれがある
・不当な条件で示談が進んでしまうおそれがある
ため、極めて危険です。
よって、弁護士に示談交渉等の手続を一任することをおすすめいたします。
弁護士であれば、被害者の情報を手に入れることができる可能性があるため、示談交渉を行っていくことができるでしょう。
示談が成立すれば、有利な事件解決を実現できる可能性が高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
痴漢事件で逮捕 弁護士への早期依頼について(中編)
今回は、愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こして逮捕されてしまった事件について、早期に弁護士を依頼するメリット・デメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、愛知県内を走る満員電車において、近くにいた女性Vさんの臀部を触る行為をしていたところ、他の乗客から指摘されることとなり、Aさんは警察官に引き渡され、逮捕されてしまいました。
Aさんは通勤途中で今回の事件を起こしてしまい、このままでは職場に連絡することもできず、職を失ってしまうのではないかと不安に思っています。
(事例はフィクションです。)
不同意わいせつ罪について
不同意わいせつ(刑法176条)における、暴行とは「身体に対する不法な有形力の行使をいい、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足りる。」とされています。
わいせつな行為の例としては、下着の中に直接手を入れて陰部に触れることや自己の陰部を押しつけたりすること、女性の乳房をわしづかみにすること等があります。
痴漢行為の中で、衣服の上から触る行為の他に暴行を伴う様なことがあれば、不同意わいせつ罪が成立すると判断される可能性があるでしょう。
また、痴漢行為そのものが「同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがない」状態にさせた上での、わいせつ行為に当たる可能性が高いため暴行が用いられていなくとも不同意わいせつが成立する可能性があることは注意するべきでしょう。
逮捕されれば、まずは弁護士に相談
Aさんは、痴漢行為によって逮捕されてしまっています。
逮捕されることで、自由が制限され、自分から職場に連絡することが出来ません。
職場に連絡することができず、無断欠勤や事件の事が職場に伝わること等により、職を失ってしまう可能性もあります。
そのため、弁護士に依頼しての早期の弁護活動が重要と言えるでしょう。
弁護士に依頼するタイミングが早ければ早いほど、有効な弁護活動の選択肢が増えることになります。
次回に続く…
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
痴漢事件で逮捕 弁護士への早期依頼について(前編)
今回は、愛知県内を走る電車内で痴漢事件を起こして逮捕されてしまった事件について、早期に弁護士を依頼するメリット・デメリットを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、愛知県内を走る満員電車において、近くにいた女性Vさんの臀部を触る行為をしていたところ、他の乗客から指摘されることとなり、Aさんは警察官に引き渡され、逮捕されてしまいました。
Aさんは通勤途中で今回の事件を起こしてしまい、このままでは職場に連絡することもできず、職を失ってしまうのではないかと不安に思っています。
(事例はフィクションです。)
事例はどのような罪となるのか
Aさんの痴漢行為には、愛知県の迷惑行為防止条例又は、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
まず、愛知県の迷惑行為防止条例について解説します。
愛知県迷惑行為防止条例
「(卑わいな行為の禁止)
第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は、人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物の上から触れること
(略)
四 前各号に掲げるもののほか、人に対し、卑猥な言動をすること
第15条 第2条の2の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2項 常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。」
とされています。
Aさんの行為は、人の身体に衣服の上から触れる行為であり、さらに卑猥な言動でもあるため1号、4号どちらにも当たる可能性があります。
そのため、Aさんの行為は、迷惑行為防止条例違反として処罰される可能性があります。
不同意わいせつ罪について
不同意わいせつ罪は、「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」場合に成立するとされています。
(刑法第176条1項)
不同意わいせつ罪の成立要件となるためには一定の要因が必要とされています。
・暴行もしくは脅迫を用いる、または被害者がそれらを受けたこと
・心身の障害を生じさせる、または被害者にそれがあること
・アルコールもしくは薬物を摂取させる、または被害者にそれらの影響があること
・睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、または被害者がその状態にあること
・同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがない
・予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕(きょうがく)させる、または被害者がその状態に直面していること
・虐待に起因する心理的反応を生じさせる、または被害者がその状態にあること
・経済的または社会的の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させる、または被害者が憂慮していること
が一定の要件となります。
次回に続く…
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例解説】アイドルに抱き着き逮捕(後編)
握手会の会場を出たアイドルに背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aは、好きなアイドルが握手会をしている会場で待ち伏せし、アイドルが会場を出てきたところに背後から抱きつきました。
Aはその場でスタッフらに取り押さえられ、警察に引き渡されました。
警察の調べに対し「ハグしただけで暴行や痴漢はしていない」と供述し、暴行罪などの容疑を否認しているようです。
(フィクションです。)
【痴漢行為とその罰則】
前編では不同意わいせつにあたる可能性を解説しましたが、それに当たらずとも、痴漢行為として迷惑行為防止条例違反などで起訴される可能性もあります。
たとえば大阪府迷惑防止条例では、その第6条第2項第1号で痴漢行為を規制しています。
第六条 (卑わいな行為の禁止)
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
今回の事例のような行為は、上記の「卑わいな行為」に当たる可能性が高いといえます。
大阪府迷惑防止条例において、このような痴漢行為の法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
不同意わいせつ罪との区別に際しての明確な基準はありませんが、迷惑防止条例違反よりも重い不同意わいせつにあたるとされる事件の傾向としては、
・瞬間的に触るだけでなく、長時間にわたって触り続けた場合
・単純に触るのみでなく、揉んだり、押し付けるといった態様の場合
・抱きつく、押し倒すといった行為
・下着の上から触るのではなく、下着の中にまで手を入れた場合
・被害者の年齢が若い場合
などが挙げられるでしょう。
【今後の流れ】
Aは暴行の疑いで逮捕されていますが、抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件、迷惑行為防止条例違反として手続きが進んでいく場合もあり得ます。
不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪や痴漢よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件や痴漢事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。
そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。