痴漢の罰則,量刑,逮捕後の流れ

2019-05-14

痴漢の罰則,量刑,逮捕後の流れ

Aさんは京都府京都市上京区を走行する電車に乗車中,目の前の女性Vさんを見て興奮してしまい,ズボンの上から臀部や腿を触るなどの痴漢をしました。Aさんは,Vさんの隣におり,痴漢の一部始終を見ていたWさんから腕を掴まれ,次の駅で降ろされて駅員室に連れて行かれました。その後,Aさんは通報を受け駆け付けた京都府上京警察署の警察官に連れていかれました。Aさんの逮捕の通知を受けたAさんの妻が,Aさんとの接見弁護士に依頼しました。
(フィクションです)

~ 痴漢はどのような罪? ~

一般的に「痴漢」と呼ばれる犯罪は,各都道府県の迷惑防止条例(各都道府県によって名称は異なる,以下「条例」といいます)が「卑わいな行為」などとして禁止する罪,もう一つは刑法176条に規定される「強制わいせつ罪」です。
条例に規定される痴漢の罪と強制わいせつ罪との大きな違いは「暴行・脅迫」を手段とするか否かです。「暴行・脅迫」を手段とする場合は強制わいせつ罪が成立します。ただし,女子の陰部に指を挿入するなど暴行それ自体がわいせつ行為であってもよいとされていますので,一見すると条例が適用されるのか刑法が適用されるのか分かりづらく,また,両者を線引きする明確な基準もありません。一応,陰部に指を挿入する行為のほか

・直接胸を揉む
・キスをする

などの行為は,相手方の性的自由を侵害する行為といえ,強制わいせつ罪で処罰される可能性があります。

~ 痴漢の罰則は?量刑は? ~

条例の罰則は,概ね,どの都道府県でも「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされていることが多いようです。また,常習として行った場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いようです。他方,強制わいせつ罪の罰則は「6月以上10年以下の懲役」と罰金刑が設けられておらず,懲役刑の長さも条例に比べ長いです。やはり,「暴行・脅迫」を手段としている点,性的自由の侵害が大きい点などから悪質だからでしょう。

* 初犯の場合 *

初犯の場合,条例違反であれば罰金刑で処罰されることが多いかと思います。強制わいせつ罪の場合,懲役刑しかありませんが,執行猶予付き判決が付くことが多いのではないでしょうか。ただし,執行猶予付き判決は「3年以下の懲役」を言渡す場合にのみ付けることができます。懲役刑の長さは1年2か月から2年が相場ではないかと思われます。

~ 痴漢で逮捕された後はどうなる? ~

逮捕されると通常の生活を送ることができませんから,家族,仕事・職場などへの不安は尽きません。
そこで,逮捕後の流れを簡単に説明いたします。

警察に逮捕されると,警察署の留置場に収容されます。そして,警察官の「弁解録取」という手続(被疑者から事件について弁解を聴く手続)を受けます。その上で,釈放か否か判断されます。釈放されない場合は,逮捕から48時間以内に検察庁(検察官)の元へ送致されます。
ここでも,検察官による「弁解録取」の手続を受けます。その上で釈放か否か判断され,釈放されない場合は被疑者を受け取ったときから24時間以内に勾留請求の手続を取られます。
勾留請求されると,今度は,裁判の「勾留質問」という手続を受けます。その上で釈放か否か判断され,釈放されない場合は勾留状という裁判官名義の令状により,指定された場所に収容(勾留)されます。通常は,逮捕されたときの場所と同様,警察の留置施設であることが多いです。
当初の勾留期間は10日間と決まっています(ただし,不服申し立てを行うことにより早期に釈放できる可能性はあります)。その後,やむを得ない事由がある場合は勾留期間を延長されることがあります。

~ 弁護人による身柄解放活動 ~

以上をみると,勾留までに釈放されるタイミングがいくつかあることがお分かりいただけると思います。一つ目は,警察の弁解録取の後,二つ目は,検察官の弁解録取後,三つ目は,裁判官の勾留質問後です。よって,早めに弁護活動をご依頼ただければ,この三者に対し,身柄を拘束しないよう,釈放するよう働きかけることができます。
なぜ,働きかけが必要かというと,基本的に,警察官も検察官も裁判官も,釈放するべき事情を全て把握しているわけではなく,仮に把握していたとしても,特に捜査機関(警察,検察)は全ての事情を酌んでくれるとは限らないからです。また,この段階で働きかけを行うことで,「仮に勾留されても後で不服申し立てをするからね」という圧力をかける意味にもなるのです。そうすれば,勾留前に釈放される可能性を高めることができます。

* 勾留後の不服申し立て *

勾留後は「勾留裁判に対する準抗告」「勾留取消し請求」という手段で釈放を目指します。ともに,釈放を目指すという意味では同じですが,後者は勾留中に勾留の理由又は必要がなくなった場合に申立てできるものです。実務では,前者の手段が多く活用されています。

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