痴漢事件において失職を防ぐ

2020-07-18

今回は、痴漢事件を起こしてしまった会社員の失職を防ぐために必要な弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは大阪市浪速区在住の会社員です。
Aさんは、通勤に電車を利用していますが、通勤中、目の前の女性乗客Vの臀部に性的に惹かれ、着衣越しにこれを触ってしまいました。
上記行為に気付いたVはAの手を掴み、次の駅でAと一緒に降車しました。
Aさんは駆け付けた警察官により、大阪府迷惑行為防止条例違反の疑いで大阪府浪速警察署現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは会社をクビになってしまうことを特におそれています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

電車で女性の臀部や腰などを触る行為は典型的な痴漢行為です。
このような行為を行うと、通常、各都道府県の制定する迷惑防止条例に違反することになります。

大阪府迷惑行為防止条例第6条1項1号は、次の通り規定しています。

第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。

電車は「公共の乗物」に該当します。
Aさんは「公共の乗物」である電車内において、Vの臀部を衣服等の上から触っています。
上記行為をVが知ったならば、Vを著しく羞恥させ、又はVに不安を覚えさせることになるでしょう。
以上の事実関係によれば、Aさんに大阪府迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~会社をクビにならないようにするための弁護活動~

(一刻も早く留置場を出る)
逮捕・勾留されてしまうと、捜査段階において、逮捕時から最長23日間身体拘束を受けることになります。
警察はわざわざAさんの会社に連絡をとってはくれないでしょう。
仮にとってもらえたとしても、Aさんにとって有利に働くとは限らず、かえってAさんの不祥事を知らせてしまう契機ともなりえます。

しかし、23日間も無断欠勤を続けると、多くの会社ではクビになってしまうでしょう。
無断欠勤を理由にクビになることを避けるためには、一刻も早く留置場の外に出る必要があります。
早期に弁護士を依頼して、①Aさんの身元引受人を用意し、②身元引受人の上申書、③勾留に関する意見書などを作成してもらい、早期に釈放するよう働きかけてもらう必要があります。
身柄解放活動が功を奏し、勾留がつかなければ、1日~3日程度で外に出ることができるようになります。
無事に釈放されれば、そのままいつも通りに出勤することができます(無断欠勤の理由について尋ねられると思いますが、その点についても弁護士と相談しましょう)。

(報道を防ぐ活動)
事件が報道されてしまうと、これを知られたくない人に痴漢事件を起こしてしまったことが発覚してしまうリスクが飛躍的に高まります。
事件をマスコミに話さないよう、弁護士を通じて捜査機関に働きかけていく必要があります。

~被害者との示談~

捜査機関が被害者の情報を知っていれば、弁護士限りで被害者情報を教えてもらえる場合が多いです。
弁護士を通じて被害者と示談交渉を行い、良い条件で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性も十分あります(Aさんに前科・前歴がある場合はこの限りではありません)。

また、何らかの形で勤務先に事件が発覚してしまった場合であっても、示談を成立させたことが有利に評価され、Aさんになされる処分が軽くなる可能性もあります。

まずは、接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指して行動していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.