痴漢で勾留前の釈放

2019-06-13

痴漢で勾留前の釈放

東京都千代田区に住むAさんは、電車内で痴漢をしたとして警視庁万世橋警察署の警察官に逮捕されました。Aさんは、逮捕後、万世橋警察署内の留置場へ収容されましたが、検察庁へ送致される前に釈放されました。自宅へ帰ったAさんは妻と相談した結果、刑事事件専門の弁護士示談交渉を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 勾留前に釈放されることがある ~

皆さんは、逮捕されても勾留される前に釈放されることがあることをご存知でしょうか?
釈放は、①警察、②検察、③裁判所の3段階に分けられます。警察で釈放される理由は、要は、「逮捕の必要」がなくなった場合、検察、裁判所で釈放される場合とは、「勾留の理由」や「勾留の必要」が認められない場合が通常だと思われます。そこで、そもそも、「逮捕の必要」、「勾留の理由」、「勾留の必要」とは何なのかご説明いたします。

~ 「逮捕の必要」とは ~

逮捕の必要」とは、被疑者の逃亡、あるいは罪証隠滅等を防止するため、被疑者の身体の拘束を要する場合をいいます。刑事訴訟法規則143条の3は「逮捕の必要」に関し、

逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者に逃亡する虞がなく、かる、罪証隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない

としています。つまり、被疑者に逃亡、罪証隠滅のおそれがあるかどうかは、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らして判断するということになり、警察官もこの基準を参考に被疑者を釈放するか否か判断しているものと思われます。

* 身元引受書を書かせる意味 *

逮捕の通知を受けたご家族が、警察署において身元引受書にサインすることを求められることがあります。これは被疑者の逃亡のおそれを担保するためのもので、このサインを求められる場合は「釈放の可能性がある」と考えてもいいかもしれません。

~ 「勾留の理由」とは ~

勾留の理由」とは

・被疑者が罪を犯したを疑うに足りる相当の理由があること
に加え
・住居不定
・罪証隠滅のおそれ
・逃亡のおそれ
のいずれかの事由に当てはまることをいいます。「逮捕の理由」が「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があることであったのに対し、勾留の場合、上の3要件が必要とされていることが異なります。

~ 「勾留の必要」とは ~

勾留の必要」とは、事案の軽重、難易、捜査の進展状況、被疑者の年齢や健康状態など、全ての事情を総合的に判断して、勾留が相当であるといえる場合のことをいい、勾留することによる利益と勾留を受ける被疑者の被る不利益を比較衡量(簡単に言うと「天秤にかける」)して判断されます。

~ 釈放された場合の流れ ~

釈放された場合、自宅に戻り、通常の生活を送ることができます。しかし、刑事事件としては決着がついたわけではありません。身柄事件の場合と同様、警察官、検察官の取調べを受けるなどします。身柄事件の場合と異なり、時間的制約がありませんから他の事件の処理に追われ、事件の処理を「後回し」にされるという可能性もなくはありません。したがって、釈放から取調べまでに1か月以上かかるということもなくはありません。
反対に、警察官や検察官によっては、早く処理をして事件を終わらせたいと考える人もいます。在宅事件の場合、法的に弁護人を付けなさいという制度はありませんから、

示談交渉を検討している、あるいは示談交渉中なので、事件処理を待ってもらいたい

などという方は、早めに弁護士を選任し、示談交渉に入ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢事件をはじめとする刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

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