【痴漢】取調べで認められている権利

2020-03-24

痴漢での取調べと権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~

千葉県野田市に住む会社員のAさん(38歳)は、通勤電車内で痴漢をしたとして、千葉県野田警察署の警察官に警察へ出頭するよう求められました。今後のことが不安になったAさんは、弁護士に取調べ時の対応などについて尋ねました。
(フィクションです。)

~痴漢~

「痴漢」は、各都道府県の迷惑行為防止条例(各都道府県によって名称は異なる、以下「条例」といいます)違反に問われることが多いかと思います。
罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、あるいは常習性が認められる場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は略式起訴されることが多く、その場合の刑罰は罰金刑です。罰金額は20万円から30万円が相場です(ただし、繰り返しますが初犯の場合です)。

また、痴漢の態様によっては刑法の強制わいせつ罪に問われることもあります。
場所を問わず(つまり、電車内か否かを問わず)、同罪に問われる可能性があります。
ここで、条例と強制わいせつ罪がどう区別して適用されるかですが、性的侵害度の高い場合はより強制わいせつ罪が適用されると考えましょう。
つまり、スカート内に手を入れ臀部を揉む程度であれば条例違反の可能性が高いですが、それより一歩進んで下着の中に手を入れ臀部を揉む行為、陰部を揉む行為は強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
初犯の場合、被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性が高いでしょう。示談が成立しない場合は起訴され有罪となれば、強制わいせつ罪は罰金刑がないですから懲役刑を宣告されます。懲役は1年から2年が相場です。

~メインは取調べ~

痴漢事件において、犯人(被疑者)が警察署で受けることとすれば、警察官の取調べがメインとなります。取調べと聴くと、みなさんはどんなことを想像されるでしょうか?まず、取調べ室はプライバシーを確保する観点からも、警察官の事務室とは別の箇所に設けられ、もちろん、犯人一人につき一個の部屋が設けられています。いわゆる密室と呼ばれる部屋です。そして、その密室に、少なくとも話を聴く警察官が一人、メモを取る一人が入ります。つまり、「犯人」対「警察官2人」となるわけです。また、ここがミソなのですが、犯人は取調べ室の扉とは反対側の席に座るよう誘導されます。これは、一つには、以下でご説明するとおり取調べ室からの退去権が認められているのですが、扉とは反対側に座らせることによって退去権行使への心理的抑止を図っているとも受け取れそうです。

~取調べで認められている権利~

取調べでは以下の権利が認められています。

=黙秘権=
取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは、取調中は終始沈黙(黙秘)することができます。
 
=増減変更申立権=
供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
 
=署名押印拒否権=
供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
 
=出頭拒否権、退去権=
在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。

~おわりに~

以上のように、取調べには法的権利が認められているものの、いざ行使となると「本当に行使していいのか?」「警察官が怖くて行使できない」という方も多い方と思われます。そういった場合は、一度、弁護士へご相談ください。弁護士であれば、より具体的なアドバイスをさせていただくことが可能です。

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