痴漢事件で早期釈放

2019-09-06

痴漢事件で早期釈放

埼玉県狭山市に住むAさんは、市内を走る通勤電車内で、前に立っていた女性の尻や太ももなどに自身の股間を当てる痴漢行為をしました。そうしたところ、Aさんは、電車を降りホームに降り立ったところで、犯行の一部終始を見ていた目撃者の男性から声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。その後、Aさんの身柄は埼玉県狭山警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)

~ 痴漢行為とは何か ~

痴漢行為の定義について明確な定義はありませんし、痴漢罪という名称の法令もありません。しかし、全国各都道府県では、名称こそ多少異なるものの、条例で痴漢行為を禁じる規定を設けています。たとえば、埼玉県迷惑行為防止条例(以下、条例)を例にとりますと、条例2条4項には

4 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

という規定が設けられています。つまり、簡略化していえば、

① 公共の場所又は公共の乗物において
② 他人に身体に触れ、又は衣服の上から触れること

痴漢行為だということになります。ただし、これに類する行為は、必ずしも「公共の場所」あるいは「公共の乗物」で行われる、とは限りません。そうした場合は、条例違反には当たりませんが、刑法176条の

強制わいせつ罪

に問われる可能性はありますから注意が必要です。

刑法176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

~ 条例の罰則 ~

条例の罰則は

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

とされています。ただし、常習性が認められる場合は

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

とされています。都道府県によっては、懲役の期間と罰金の額がそれぞれ埼玉県の2倍になっていることもあるため注意が必要です。

~ 逮捕後と早期釈放 ~

逮捕後の流れは以下の通りです。

逮捕→②警察署の留置施設へ収容→③警察官の弁解録取→④送検→⑤検察官の弁解録取→⑥勾留請求→⑦裁判官の勾留質問→⑧勾留決定

警察官に逮捕されると、警察署内にある留置施設(留置場)へ収容されます(①、②)。
その後、警察署で「弁解録取」という手続きが取られます(③)。警察官から弁解を聴かれた上で、釈放か否か判断されます。ここで釈放されない場合は、逮捕(①)から48時間以内に検察官の元に送致する手続き(送検)を取られます(④)。

検察官の元でも「弁解録取」という手続きを取られます(⑤)。検察官から弁解を聴かれた上で、釈放か否か判断されます。ここで釈放されない場合は、勾留請求されます(⑥)。勾留請求は、検察官の元に送致されてから24時間以内になされます。

勾留請求されると、今後は、裁判官による「勾留質問」という手続きを取られます(⑦)。裁判官から話を聴かれた上で、釈放か否か判断されます。釈放されない場合は、勾留決定が出されたと考えていいでしょう(⑧)。勾留決定が出た場合は「勾留状」という裁判官名義の令状が発布され、勾留状に基づき指定の留置場等へ収容されます。

通常、弁護士逮捕後に接見のご依頼を受けてから逮捕された方と接見するのは、早くても③から④の段階となるのではないかと思われます(なお、弁護人以外のご家族などは、⑧に至るまで逮捕された方と接見することができません)。したがって、この段階で弁護活動のご契約をいただければ、検察官や裁判官に対して早期釈放を促すことが可能です。
勾留されれば10日間(延長により最長20日間)という身柄拘束が待っていますから(ただし、不服申し立てにより早期釈放は可能)、勾留前の早期釈放をお望みの場合は、はやめに弁護士へご依頼ください。

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