不起訴と痴漢

2021-06-18

不起訴と痴漢について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

会社員のAさんは、電車内で女性客に対して痴漢をしたとして迷惑防止条例違反で逮捕されました。Aさんは、その翌日釈放されましたが、痴漢の前歴があるためどのような処分となるのか不安で仕方ありません。Aさんは刑事事件専門弁護士に法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~痴漢とは~

痴漢行為の定義について明確な定義はありませんし、痴漢罪という名称の法令もありません。しかし、全国各都道府県では、名称こそ多少異なるものの、条例で痴漢行為を禁じる規定を設けています。福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)6条1項には

条例6条1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 他人に身体に触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること

という規定が設けられています。つまり、簡略化していえば、

① 公共の場所又は公共の乗物において
② 他人に身体に触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること

が痴漢行為だということになります。
条例の罰則は「1月以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。ただし、常習性が認められる場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされ、全国的にもほぼ同様の罰則となっています。

~不起訴~

不起訴とは文字通り,起訴しないという意味です。起訴権限が検察官に認められているわけですから,起訴するかしないかの判断も検察官に委ねられています(起訴便宜主義)。不起訴となれば,裁判を受ける必要はありませんし,刑罰を科されることもありません。また,前科もつきません(前歴は残ります)。

不起訴の理由には様々ありますが,普段,よく目にするのが「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」の3種類かと思います。

「起訴猶予」は,犯罪が成立することは明白であるものの諸情状(示談成立の有無,被害者の処罰感情の程度,反省・更生意欲の程度,更生の可能性など)に鑑みて不起訴とする場合に付される理由です。
「嫌疑不十分」は,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分な場合に付される理由で,「嫌疑なし」は,被疑者が犯罪事実の行為者でないことが明白は場合,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合に付される理由です。

不起訴処分獲得を目指すといっても,その理由付けによる不起訴処分の獲得を目指すかで弁護活動の内容は異なってきます。詳しくは弁護士にご相談ください。
再犯の痴漢事件について考えた場合、前歴があることは不利な事情になりますが、特定の被害者を狙ったり、強制わいせつ罪に当たるような痴漢行為であるなど悪質な痴漢ではないケースであれば、被害者との示談が成立していることや、専門的な治療を受けるなどといった再発防止措置がとられていることなどの犯罪後の情況に関する事項を考慮した上で、検察官が不起訴処分とする可能性はあります。
起訴猶予の基準のひとつである犯罪後の事情については、示談の成否と再発防止措置の有無が重要となります。
そのため、弁護士は、早期に被害者との示談交渉に着手し、また、再発防止に向けた措置をいかにして講ずるかについて被疑者本人やその家族と一緒になって考えます。

再び痴漢事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。痴漢の在宅事件で捜査を受けている方は、弊所までお気軽にご相談ください。

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