「卑わいな言動」により逮捕

2020-03-14

今回は、卑わいな語句を大声で叫び、女性につきまとった疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、大阪府堺市内の駅構内において、酒に酔い、女性器の俗称を大声で連呼するなどしながら、女性Vにつきまとい、執拗に自身と性交するよう求めていたところ、Vにより警察を呼ばれてしまいました。
臨場した大阪府黒山警察署の警察官はAさんをなだめ、落ち着くよう求めましたが、興奮したAさんはなおも卑わいな語句を大声で叫ぶなどしたため、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~ケースの場合、何罪が成立するのか?~

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第6条第1項4号は、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、人に不安を覚えさせるような卑わいな言動を行うことを禁じています。

「卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語または動作」をいいます。
通常、駅構内で女性器の俗称を大声で連呼したり、見知らぬ女性に対して性交を求めるなどすることは、法令が禁止する以前の問題として、憚られる行為であると考えられます。

したがって、Aさんが女性器の俗称を大声で連呼するなどしながらVにつきまとい、執拗に自身と性交するよう求める行為は、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語または動作」に該当するものと思われます。
以上の事実関係によれば、Aさんの行為は「卑わいな言動」に該当し、つきまとわれた被害者において不安をおぼえさせるようなものであると考えられます。
よって、Aさんに大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

上記行為について有罪が確定すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第17条2項)。

~今後の手続~

警察署に引致された後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、Aさんの弁解の録取、取調べがなされます。

~検察への送致~
取調べ後、留置の必要があると認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。

~勾留の判断~
Aさんの勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

以上の手続をまとめると、逮捕された段階で最長72時間、勾留がつくと最長20日間、身体拘束を受けることになります。

~早期の身柄解放の実現~

身体拘束が長引くと長期間会社等を休まなければなりません。
会社の無断欠勤が続けば、クビになってしまう可能性が極めて高いです。
逮捕され、身体拘束が長引けば長引くほど、Aさんの社会復帰を困難にします。

まずは、弁護士に依頼し、早期の身柄解放の実現に向けて活動してもらいましょう。
ケースにおいてAさんが逮捕されてしまったのは、あまりにもAさんの言動が目に余る、という理由もあるでしょう。
Vの身体を傷つけたわけでもありませんし、また、Vと面識もありません。
このような事情の下では、適切な弁護活動を通じ、早期の身柄解放を実現できる見込みがあります。

ただし、一旦勾留が付いてしまうと、これを覆すのはなかなか困難です。
可能な限り早い段階で弁護士を依頼することが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が卑わいな言動を行った疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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