バス内痴漢事件で刑事処罰軽減の弁護士
痴漢事件の刑罰の重さについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都足立区在住のAさん(17歳少年)は、高校への通学途中のバス内で、隣に座る成人女性の下半身を触った容疑で被害者女性に呼び止められて、警察官を呼ばれ、臨場した警察官は、Aさんを警視庁綾瀬警察署に任意同行した。
Aさんは警察署の取調べで「やっていない」と否認し、その後、綾瀬警察署に逮捕された。
Aさんが逮捕されたという知らせを受けたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士事務所に電話して、まずは弁護士をAさんのもとに派遣し(初回接見)、今後の釈放手続などの弁護対応について、弁護士からの接見報告を受けることにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~痴漢事件の強制わいせつ罪の刑罰~
痴漢事件を起こした場合には、痴漢行為の犯行態様に応じて、「強制わいせつ罪」または「各都道府県の迷惑防止条例違反」に問われる可能性が考えられます。
・刑法 176条(強制わいせつ)
「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
刑法の強制わいせつ罪は、「暴行又は脅迫を用いて」痴漢行為をした場合に、成立する犯罪です。
強制わいせつ罪の「暴行又は脅迫」とは、「被害者の反抗を著しく困難にする程度のもの」をいいます。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」とされており、罰金刑は規定されていないため、起訴された場合には法廷で裁判が開かれることになります。
起訴前の弁護活動は、弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得を目指すことが、重要となります。
強制わいせつ罪の起訴後は、執行猶予付きの判決を目指して、裁判で弁護士が積極的な主張立証活動を行っていくことになります。
~痴漢事件の迷惑防止条例違反の刑罰~
強制わいせつ罪の「暴行又は脅迫」の要件を満たさない痴漢事件は、各都道府県の制定する「迷惑防止条例違反の痴漢罪」に問われるケースが多いです。
ただし、迷惑防止条例は各都道府県によって、痴漢罪の成立要件や刑罰にそれぞれ違いがあり、特に痴漢行為がどの場所で発生したかの事情が、迷惑防止条例違反の成否に影響します。
・東京都迷惑防止条例 5条1項
「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」
5条1項1号
「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」
東京都迷惑防止条例の場合には、「公共の場所又は公共の乗物」における痴漢行為が、刑事処罰の対象となっています。
東京都迷惑防止条例違反の痴漢罪の法定刑は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
他の都道府県でも、迷惑防止条例違反の痴漢罪の法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されていることが多く、例外的に神奈川県の迷惑防止条例などでは「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とより重く規定されています。
迷惑防止条例違反の痴漢罪においても、起訴前の弁護活動として、弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得を目指すことが、重要となります。
ただし、痴漢加害者だと疑われている本人が事件を否認しているケースにおいては、被害者側との示談交渉は行わずに、弁護士が冤罪事件であることの立証を目指して、痴漢容疑が間違いであることを証明するための主張や証拠収集等の立証活動を行い、不起訴処分の獲得を目指す形になります。
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