刑罰の種類と不起訴
刑罰の種類と不起訴
~ケース~
さいたま市在住の会社員のAさんは,休日に日頃の会社でのストレス等から東武鉄道野田線の車両内でVさんに痴漢をしてしまった。
AさんはVさんによって腕を掴まれ次の停車駅で駅員に引き渡された。
通報によりかけつけた警察官によってAさんは埼玉県大宮警察署に連行された。
Aさんの勤務する会社の就業規則には「従業員が何らかの刑罰を受けた場合は懲戒解雇に処することができる」という規則があり,Aさんの家族は刑罰を回避する方法がないか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~痴漢~
痴漢は各都道府県の定める,いわゆる迷惑防止条例によって禁止されています。
詳細な条文は各都道府県によって若干異なりますが以下のような条文になっています。
何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(以下略)
この条文は東京都の迷惑防止条例の条文です。
罰則も各都道府県によって異なりますが6か月以下もしくは1年以下の懲役または50万円もしくは100万円以下の罰金という場合が多いようです。
~刑罰~
刑罰は、重い順から,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料となっています。
また,刑の執行を一定期間猶予し,その期間に犯罪を犯さないなどの条件を満たす場合には刑の言渡しの効力を失わせる「執行猶予」と呼ばれる制度があります。
執行猶予は3年以下の懲役・禁錮,50万円以下の罰金に対して付すことが可能ですが,罰金刑に執行猶予が付されることは非常に稀で1年に1件あるかどうかのようです。
罰金刑を科せられたものの罰金を払えない場合は労役場留置という換刑処分となります。
労役場で罰金額に対応した日数の労役作業をすることにより罰金を支払ったことになります。
基本的に1日当たり5000円で計算されることが多いようです。
~Aさんの場合~
何らかの事件が発生したにも関わらず被疑者(および被告人)が刑罰を受けないケースというのは、基本的に刑事裁判で無罪となった場合か検察官が事件を不起訴とした場合が考えられます。
今回のケースでは,Aさんは実際に痴漢行為をしてしまっていますので,起訴されて刑事裁判となった場合には無罪となることはまずありません。
そのため,刑罰を回避するためには不起訴処分を目指すことになります。
不起訴処分には全部で20種ありますが,多くの場合は起訴猶予処分を目指すことになります。
起訴猶予処分は被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに不起訴となります。
痴漢事件の場合,犯行が悪質でなく,余罪もなく初犯であるような場合には,被害者の方と示談が成立していれば、起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
そのため,Aさんが刑罰を回避するためにはVさんと示談を成立させることが重要になります。
しかし,加害者の方がご自身で示談交渉をしようとしても,被害者の方が応じてくれないどころか,連絡先などもわからない場合がほとんどです。
弁護士であれば,被害者の方の同意の下,検察官から連絡先を教えて頂き,被害者の方と連絡を取ることができる場合もあります。
なお,勾留されていない在宅事件の場合,国選の弁護士は起訴された後でしか付けられませんが,私選の弁護士であれば起訴前につけることができますので、起訴されないように活動することが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
被害者の方と示談を成立させたことによって不起訴となったケースも多数あります。
痴漢をしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(事務所での法律相談は初回1時間無料です)