国内線航空機内における痴漢事件

2020-05-30

今回は、国内線航空機内で準強制わいせつ事件を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

横浜市泉区に住むAさんは、国内線の航空機内において、隣で熟睡している女性Vの襟元に手を入れて、胸部を弄んでしまいました。
眠りから覚めたVはAさんの犯行に気付きましたが、畏怖のため声をあげることなどができませんでした。
Vがこっそり客室乗務員にAさんの犯行を告げたところ、着陸した空港でAさんを警察に引き渡すことになりました。
着陸空港でAさんは警察官から声をかけられ、取調べを受けた後、準強制わいせつの疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~悪質な痴漢事件~

多くの痴漢事件においては、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪が成立することになります。
しかし、痴漢の態様が悪質だと、強制わいせつ罪など、より重い嫌疑をかけられることもあります。
ケースの態様は悪質であり、さらに、睡眠中の被害者にわいせつな行為を行っているため、準強制わいせつ罪の嫌疑をかけられたものと考えられます。

~準強制わいせつ罪とは?~

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為を行う犯罪です(刑法第178条1項)。

「心神喪失」とは、意識喪失(睡眠・泥酔など)、高度の精神障害などによって、性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。

睡眠中のVの胸部を弄ぶなどする行為は、人の心身喪失に乗じ、わいせつな行為を行ったものと評価される可能性が高いでしょう。

準強制わいせつ罪の法定刑は、強制わいせつ罪と同じく、6月以上10年以下の懲役となっています。
したがって、より早期に弁護士を依頼し、事件解決を目指す必要性が高い事件ということができます。

~今後の手続~

警察署に引致された後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取されます。
当番弁護士をこのタイミングで頼むこともできます。

~検察への送致~
警察での取調べ後、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致しなければなりません。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決定します。

~勾留の判断~
Aさんの勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間勾留が延長されます。
勾留が付くと、捜査段階で最長23日間身体拘束を受けることになります。

~事件の有利な解決のために~

ケースの事件を有利に解決するためには、被害者と示談をすることが極めて重要です。
示談交渉は被疑者本人でも行うことができますが、不利、又は法律的に無意味な示談を行ってしまう可能性などがあるため、おすすめできません。
そもそもAさんは逮捕されているので、外で活動することができません。
また、Aさん自身でVの情報を獲得することは極めて困難でしょう。

そのため、弁護士に弁護活動を依頼し、その一環として示談交渉を行ってもらうことをおすすめします。

良い条件で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、絶対に前科がつくことがありません。

事件を有利に解決するため、早期に弁護士を依頼することを検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が準強制わいせつ事件を起こし逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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