公務員が起こした2度目の痴漢事件

2020-05-23

今回は、痴漢事件を起こしてしまった公務員の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、岐阜県所沢市内を走る電車内において、目の前の女性Vの腰を触った疑いで、埼玉県所沢警察署現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは地方公務員として働いています。
地方公務員となってからは大人しく過ごしていたのですが、地方公務員になる前に1度だけ痴漢事件を起こし、罰金刑を受けた過去があります。
今回の事件についても犯行を認めていますが、職を失うことを非常におそれています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

埼玉県迷惑行為防止条例第2条第4項は、
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
と規定しています。

これに違反し、有罪判決を受ける場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(埼玉県迷惑行為防止条例第12条2項1号)。

~Aさんが特に注意すべきことは何か~

Aさんは地方公務員です。
地方公務員法第28条4項によると、「職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う」と規定されています。
地方公務員法第16条各号のうち、第2号には「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が挙げられています。
懲役刑の言渡しを受け、その執行を猶予されている者も上記に該当します。

Aさんが有罪判決を受ける場合において、懲役刑が選択されてしまうと、地方公務員法第28条4項により、条例に特別の定めがある場合を除く外、失職してしまうことになります。

また、一刻も早い身柄解放を実現することも重要です。
地方公務員ではない、民間のサラリーマンの場合においても当てはまることですが、無断欠勤を続けると勤務先から不利益な処分を言い渡される可能性があります。
逮捕後、勾留決定がなされなければ、1日~3日程度で外に出ることができます。
1日~3日間、無断欠勤をすることは避けられませんが、勾留され、何十日も無断欠勤を続けるのに比べれば事態として良いということができるでしょう。

職を失ってしまうと、Aさんの社会復帰に多大な悪影響が生じます。
弁護活動を尽くし、早期の身柄解放の実現、懲役刑の回避を目指して行動する必要があります。

~具体的にはどうすればよいのか~

起訴猶予処分、または、②略式手続により罰金刑の言渡しを受けて事件を終了させることができれば、ケースの事件につき、地方公務員法第28条4項により失職する可能性はなくなります(ケースの事件に関係して、何らかの不利益な処分を受ける可能性は否定しきれません)。

起訴猶予処分は不起訴処分の1つです。
不起訴処分がなされれば、裁判にかけられることがないので、刑罰を受けることもありません。
できる限り起訴猶予処分の獲得を目指すべきですが、Aさんは過去に同種前科により罰金刑を受けているため、起訴猶予となるのは難しいでしょう。

起訴猶予処分の獲得は難しい、ということであれば、略式手続により事件を解決するよう検察官に働きかけることが考えられます。
罰金刑の言渡しで事件が解決すれば、地方公務員法第16条2号に該当せずに済むことになります。

被害者と示談をするなど、適切な弁護活動を捜査段階で行う必要があるといえます。

まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が痴漢事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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