京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件

2019-04-04

京都市営地下鉄烏丸線車内の痴漢事件

~ケース~

Aさんは、京都府内を走行する満員の京都市営地下鉄烏丸線車内において、前にいた女性Vの臀部をスカート越しに撫でたところ、Vはこれに気付き、Aさんの腕を掴んで「警察へ行こう」と言いました。
Aさんはとりあえず降りて謝罪をしようと思い、Vと一緒に次の駅で降車しましたが、間もなく駆け付けた警察官に京都府北警察署へ連れて行かれ、取調べを受けました。
数時間に及ぶ取調べが終わり、ようやく出勤できると思ったら、警察官に「しばらく帰宅はできないので泊ってもらう」と言われ驚いています。(フィクションです)

~痴漢をしてしまったら~

いわゆる「痴漢行為」を行った場合には、主に①各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反の罪、あるいは、②強制わいせつ罪(刑法第176条)の成否が検討されます。

(迷惑行為防止条例違反の罪)

迷惑行為防止条例は、47都道府県すべてにおいて制定されており、都道府県ごとに条文の文言や法定刑が異なります。
どの都道府県の迷惑行為防止条例が適用されるかは、痴漢を行った場所により決まります。
京都府内を走行する電車内でVの臀部を触ったのであれば、京都府内で痴漢を行ったことになるので、京都府迷惑行為防止条例が適用されることになります。
京都府迷惑行為防止条例第3条1項は、

公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1)みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
(2)みだりに、物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
と規定しており、これに違反し、有罪が確定すれば、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

(強制わいせつ罪)

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪であり、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、暴行・脅迫によらずとも強制わいせつ罪が成立します。
迷惑行為防止条例違反の罪と異なり、「公共の乗物において」などといった場所の制限がありません。
さらに、法定刑も6月以上10年以下の懲役が予定されており、迷惑防止条例違反の罪よりもはるかに重い犯罪ということができます。

(両者の区別)

条文で具体的に強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反の罪の「境界」を示すものはありません。
そのため、痴漢の態様(触れた、に過ぎないのか、それとも弄んだのか、触れた身体の部位、直接肌に触れたかどうかなど)を考慮し、「わいせつな行為」に至ったかどうかを検討することになります。
ケースの場合のように、スカート越しに臀部を撫でたケースにおいては、多くの場合、迷惑行為防止条例違反の罪の成否が検討されることになるでしょう。

~取調べが終わったのに、Aさんはなぜ帰宅できないのか~

ケースの警察官は、すでにAさんがVにより「現行犯逮捕」されているものと判断した可能性が高いです。
「現行犯人」は、誰でも(警察官でなくても)逮捕することができ、令状も必要ありません(刑事訴訟法第213条)。
被害者が被疑者の腕を掴むなどして警察に引き渡した場合、私人による現行犯逮捕がなされたものと扱われることがあります。

~早期の身柄解放を目指す~

Aさんの身柄は逮捕時から48時間以内に検察に送致され、検察官の取調べを受けることになります。
検察官は、身柄を受け取った時から24時間以内に勾留請求をするか、釈放するか、あるいは起訴するかを判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出せば最長10日間、勾留延長をされれば更に最長10日間、留置場から外に出ることができなくなります。
したがって、現在のAさんは、勾留をさせない活動を尽くし、なるべく早期に留置場の外に出られるよう行動すべきです。
勾留をさせない活動」として考えられるのは、被害者女性との示談、検察官や裁判官に勾留請求、勾留決定をしないよう働きかけることです。
いずれも、Aさんが自ら行うのは困難なので、刑事事件に熟練した弁護士に身柄解放活動を依頼しましょう。
無事に身柄を解放された後も、不起訴処分の獲得を目指して行動しなければなりません。
弁護士は、Aさんにとってより利益な処分が得られるよう力を尽くします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような痴漢事件の解決実績も豊富です。
ご家族、ご友人が痴漢事件を起こし逮捕された方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回接見のお申込みは0120-631-881まで
京都府北警察署までの初回接見費用:36,300円

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