路上で女性に接吻し逮捕

2020-09-19

今回は、自宅近所の路上において、被害者女性の意思に反して接吻し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府大東市に住むAさんは、自宅近所の路上において、やにわに女性Vに近づき、Vの正面からこれに抱きついた上、同女と接吻しました。
Vはとても怖くなり、その場を立ち去りました。
後日、Aさんの自宅に大阪府四条畷警察署の警察官が現れ、任意で取調べをしたいと告げてきました。
Aさんは警察署に出頭し、上記の事件について心当たりがないか尋ねられました。
犯行を認めたところ、Aさんは強制わいせつの疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~単なる痴漢とは異なる~

駅構内や電車内で女性の身体に触れる行為は、多くの場合、犯行を行った都道府県の定める迷惑防止条例違反の罪に問われます。
しかしAさんは、迷惑防止条例違反の疑いではなく、「強制わいせつ罪(刑法第176条)」の疑いで逮捕されています。

強制わいせつ罪とは、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は、13歳未満の者に対してわいせつな行為をする犯罪です。
判例(東京高等裁判所昭和32年1月22日判決)は、「相手方女性が被告人の要求に応じ接吻を承諾すべきことを予期し得る事情は少しもないのに、単に自己の性欲的満足を得る目的で相手方の感情を無視し、暴力を以つて強いて接吻を求めるような場合、その接吻は一般の一道徳的風俗感情の許容しないものとして刑法の強制猥褻の行為にあたる」としています。

Aさんは、いきなりVに近づいて抱きついた上、これと接吻していますが、上記判例によれば、この行為が強制わいせつ罪を構成する可能性は高いと思われます。
強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役となっています。
法定刑の長期、及び、罰金刑が予定されていない点を考慮すると、迷惑防止条例違反の罪と比べて格段に重い犯罪であることがわかります。

~今後の弁護活動~

ケースの場合は、①早期の身柄解放の実現、②Vとの示談交渉、③起訴猶予処分の獲得を目指した活動が主な弁護活動として想定されます。

(早期の身柄解放の実現)
逮捕・勾留されてしまうと、逮捕時から最長23日間、外に出られなくなってしまいます。
逮捕・勾留がもたらす不利益、悪影響は計り知れません。
そのため、一刻も早く外に出ることが必要です。

もっとも、そのためには、Aさんに罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないことを、検察官や裁判官に納得してもらう必要があります。
もしVがAさんの自宅近所の住民であれば、Aさんにとって不利な事情といえます。
Aさんの自宅から離れた場所に住む親類などに身元引受人となってもらい、その上申書を提出するなどして、効果的に「罪証隠滅のおそれ」、「逃亡のおそれ」がないことを主張する必要があるでしょう。

(Vとの示談交渉)
Vと示談を成立させることができれば、Aさんになされる処分を軽くできる可能性が高まります。
「より軽い処分」の例として、後述する「起訴猶予処分」が挙げられます。
身柄解放を実現した後も、事件の捜査は継続しています。
より軽い処分を獲得し、有利に事件を解決することが重要です。

(起訴猶予処分の獲得)
検察官は、Aさんの反省の様子、被害弁償の有無などを考慮し、Aさんを裁判にかけない処分をすることができます(起訴猶予処分)。
裁判にかけられなければ、有罪判決を受けることもないので、前科が付かずに済みます。
ただし、強制わいせつ罪は比較的重い罪であり、ケースの事件において起訴猶予処分を獲得するためには、示談を成立させることが極めて重要です。

より有利な事件解決を目指すためには、そのための時間が必要です。
早期に弁護士を依頼すれば、その分、弁護活動に費やすことができる時間が増えることになります。
逮捕されてしまった場合には、一刻も早く弁護士を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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